Vol.90 未来に残すべき事業 淘汰すべき組織風土

2015年3月1日

先月、読者の方から、次のような内容のメールをいただきました。

 

「郷里で1人暮らしをしていた86歳の母が先日、市内に最近出来たサービス付き高齢者住宅へ入居しました。
昨年11月から腰痛と複雑骨折で整形外科病院に入院していましたが、1月に病院から『お母さんに突然認知症と思われる行動が見られるようになった。』という連絡が入り、数日後には『全く食べなくなった。このままではお母さんは死んでしまう。当院では今の事態に対応できないので内科系の病院へ転院させたい。』という連絡があり、翌日には内科病院への転院・・そして2週間ほどで今回の施設への入居に至りました。

先日、母が施設のスタッフの方々と談笑しているのを見て、また出された食事を喜んで食べるのを見て、先日に認知症騒ぎは何だったのだろと考えさせられました。『病院食はとってもまずかったんだもの。また病院ではとてもそのようなことを言いだせるような雰囲気ではなかった。』と言うのを聞き、整形外科病院に入院以来一番欠けていたのは、周りの人々との暖かいふれあいや活発なコミュニケーションだったことに改めて思い至るととともに、認知機能が低下した今の母にとって、施設への入居は正解だったと思いました。

ただ、母は、今の施設に入居できたことには感謝しつつも、そうなってしまった今の自分を嘆かずにはいられなかったのでしょう・・施設の職員からの温かい言葉に涙を流す姿もありました。

 

東京と福井を往復して、病気を抱える両親の様子を見る私には、他人事ではありません。

患者の大多数が高齢者となった医療機関の現場ですが、未だに認知症の症状を呈する方への対応が拙いと思われる例は多数あります。入院した医療機関で症状が急速に進み、認知症対応が弱い介護施設で悪化し・・対応できる施設等に巡り合うと嘘のように安定する。残念ながら、全国どこでも、よく聞く話です。

経営者は対応しているつもりでも、現場では対応できてない~排除する(大袈裟に騒いで転院・転所へ)といった事例もよくあります。こうした状況が解消して、誰もが負担に見合った良いサービスを受けられるのか・・難しい問題です。

 

今回の通信は、こうした事例も念頭に、未来に残すべき事業となるため、どうしていくのかを考えてみます。

医療費は40兆円、介護費は10兆円規模と、日本国内では最大規模の市場規模を持つ産業になっていますが、その事業主体の内部をみると・・玉石混交です。現在は、各種制度に守られて、内部管理が甘い事業も生き残っていますが、今回の介護報酬をはじめに各事業報酬はマイナス改定の連続も見込まれるなど、厳しさを増すばかりです。

その中で、今の玉石混交の事業体群を、どのように品質と効率性が両立する事業ばかりにできるかが、制度以上に大事な点です。

読者から送られた写真のように、希望のある景色に辿り着くには・・今回は、その点について考えてみます。

 

未来に残すべき事業 淘汰すべき組織風土