Vol.80 暮らしの基盤を再構築 ~医療や介護の前に行うべきこと~ 

2014年8月15日

先日、読者の方から、日経新聞に掲載された、津山中央病院の積極投資についてメールをいただきました。

 

記事によれば、 「津山中央病院(写真)は病床数535床の基幹病院だが、地盤の津山市を中心とする県北地域は人口減少が著しい。積極投資で先端医療を導入することで、『中四国など広域から患者を集めて中長期で病院規模を維持していく(理事長談)』考えだ。」との由。

今後4年で約170億円を投じて最先端の医療施設を整備~血管撮影装置を備えた「ハイブリッド手術室」が入る新病棟を建設や中四国初のがん陽子線治療施設も導入と解説されていました。

 

民間病院ですから、それなりの勝算があってのことなのでしょうが、岡山県のHPや当該病院のHPに掲載されたデータをみる限りでは、次のような状況であり、正直、唸ってしまいました。この地域に必要な「未来への投資」は、こうした形態なのだろうかと・・。

1 津山・英田保健医療圏は、岡山県の1/4の広大な面積にもかかわらず、人口は20万人を切り、今でも減少が続く。

2 当該病院の退院患者の8割以上は、当該医療圏に在住の患者であり、現在は、広域から患者が集まっている訳ではない。

3 中四国の交通の結節点である岡山市から車で1時間程度の距離に、既に兵庫県立粒子線医療センターがあり、がん陽子線治療が重複する形になる。

 

昨年来、全国の農山村等を周っており、今回の地も、既に2回ほど実際に車で走っていますが、津山市等はともかく、その周囲の町村は、医療・介護の前に、今後10年を経ると、どのように暮らしていくのか・・と考えるような地域もたくさんありました。

また、今月1日からは、宮城県の沿海部から福島県の沿海部(帰宅困難地域の境界まで)を見て回りましたが、そこで見た家はあるが人が住まない地域を見て、これは福島だけではなく、今でも全国にある風景であると実感し・・10年後、20年後には、都市部でも普通に見ることになる景色と直感しました。

 

医療・介護の前に、政策的な為すべきことがあるのではないか・・この思いから、今回の通信をまとめました。

 

暮らしの基盤を再構築 ~医療や介護の前に行うべきこと~