2012年4月15日
下記は、前回の通信に対する福井在住の読者(弁護士)の方からのコメントです。
こうした現実的な声を、厚生労働省の担当課でも把握していただき、地方厚生局に指示・依頼するばかりでなく、自らも状況改善に動くことが期待されます。
「先だって医療観察法の付添人になりました。
重度の知的障碍者の事件で、結果的には、法律に基づく医療を受けさせても回復可能性を期待できないとの鑑定が出て、法律に基づく医療は受けないことになりそうです。
ただ、それで話が終わるわけではなく、事件を起こした施設には戻れず、家族(両親)が自宅で関わることにも限界があり、とりあえず精神科病院に任意入院をして、その間に、通所や入所の可能な施設を探すことになります。
本件では、本人・家族の住所は奥越(福井の東端)であるにも関わらず、保護観察所による生活環境調査報告書には「想定される指定通院医療機関」として小浜市(福井の西端)に所在する病院が掲載されていました。自宅から小浜まで通院するとなると、片道2時間以上かかってしまいます。家族には、本人を支えようとする意思が強くありますが、小浜までの通院となると大変な負担を強いることになるだろうと思いました。
また入院の場合、福井の事件の指定入院医療機関としては富山にある「NHO北陸病院」なのですが、そこは既に満床で、入院となると新潟上越市の「NHOさいがた病院」になる可能性が高いと言われました。家族が面会に行くのも大変です。
法に基づく入院の場合、一般の精神科病院での治療に比べて手厚い医療が無償で受けられるため、家族も法に基づく治療を希望する場合もあります(私が最初に担当した事件では、家族に十分な資力がなく、家族が法に基づく治療を希望)が、社会復帰後、家族が本人とのかかわりを持ち続けようとすると、入院中から本人と関わりを持つ必要があると思われるのですが、今の入院施設の配置の現状では難しい状況です。」
さて、今回は、医薬品に関する経済的な側面についてです。
最近の薬価制度に関する議論を振り返りつつ、今後の政策議論に期待するものをまとめました。
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