Vol.106 病院事業の労働生産性

2016年10月2日

9月25日のコラムで記したように、西彼杵~島原~天草の移動の途中で行った雲仙(写真)の麓の現地法人で意見交換をしました。残念なこともありましたが、相談部門に関するやりとりは、面白いと感じました。

 

福祉分野で、相談事業は報酬支払の対象となっていますが、よく不採算だと言われます。その法人も、それを前提に相談事業は赤字予算を組んでいました。

きっと、そうだろうと考えて、黒字で頑張っている相談事業の方に動向をお願いし、その工夫と課題について発表してもらいました。

ポイントを要約すれば、次の3点でした。

1 相談事業の採算性を上げるには、極力、利用者・家族と接する時間を増やすことが必須

 ○会社への出勤は義務としない(直行・直帰自由)などの働き方の柔軟さが不可欠

 ○移動時間を極力減らすため、当日の訪問先や経路を調整・工夫

2 時間を無駄にせず、自分の生活との調整を図ることが必要

 ○事前のスケジュール調整を徹底する(他の案件の訪問日との調整など)

 ○連絡方法を確定し、電話・メール等での相談支援も重視

3 担当者のモチベーション向上の環境づくりも有意義

 ○業績連動の給与制度の存在(事業収入の一定割合の収入水準設定)

 ○他の法人の相談員との技術交流・情報交換の充実

 

これらは、どの医療・福祉の事業に反映できると思いますが、こうした環境等を整えられる法人は少ないでしょう。

合理的とわかっていても、今の状況に合った人の働きを高める新たな方法を、過去から続く内部ルールを変えてまで採用できない・・自ら決め切れないからです。

 

さて、今回の通信は、上記のやりとりに触発されて、病院事業の生産性についてです。

この10年、患者数は減少したものの、病院の人材数は2割以上増えました。その人材が効果的に働いて患者の満足度の向上や、治療効果の向上につながっているのか、皆さんも考えてみてください。

 

病院事業の労働生産性