2024年12月25日
「新築時の工事図面では存在してることになっている柱が、改修等で壁を撤去すると存在していないことも結構ある」、「今回も実際に解体してみないとわからない」と、契約締結段階で言われてはいましたが・・開けてびっくり驚くことが3つありました。
最初の問題は木造部の北側に、通常であればあるはずの梁がないということが判明した点です。
梁があるという前提で北側壁の補強を行っていましたが、梁がないと、その工事の意味が減殺されるとのことで、和室の縁側部に東西方向に壁を作る(=筋交い・金具連結)こと、及びその新設の壁の上部~和室の天井裏にある梁と北側の壁とを接続する工事を、北側納戸の天井を抜いて行うという提案がありました。素人なりに、その必要性は理解できたので、その工事はOKしましたが、父親の工事に問題があったのだなと苦笑いする一方で、縁側の新設壁で、その奥にあった収納(押入・納戸)へのアクセスができなくなるという現実的問題を、次の改修時に解決することが必要となりました。
次の問題は、木造部と鉄骨部の接続部にありました。
一つめは、その接続方法が「考えられないもの」だったという点です。
鉄骨部は増築ですので、本来は、木造部と鉄骨部それぞれが自立的な構造で、その両者をエキスパンションジョイントでつないでいるのが常識です。これは、その昔の国立病院機構で建築設計部門の担当部長時代に覚えた初歩的なものですが、まさか父親が建築にかかわった家で、この常識が覆されるとは予想もしていませんでした。
増築の鉄骨部は、本来であれば、「東西南北4方向に梁があり、それぞれの隅に柱がある。」「東西に長い形のため、さらに南北の梁が2本あるが、その両端には柱が必要」~その上で、木造部と鉄骨部をつなぐジョイントがあるという形であるべきなのですが・・現実には、「4方向のうち北側の梁がない=木造部の梁で代用」「途中の2本の梁について、木造部側の柱がない=木造部側の柱で代用」~その結果、ジョイントというものがないと判明しました。
今さら、耐震工事やめて、取り壊し・建て替えというわけにもいかないので、耐震工事の事業者と改修工事発注予定の工務店で、代替案を検討してもらうことに・・その結果は、「現時点で鉄骨の梁を追加はできないので、共有となっている木造部の梁を支える構造を強化。その下部は束石ではなくコンクリートの基礎を新設」「柱のない梁については、当該コンクリート基礎を活用して木の柱を追加する」ということに。追加費用は、改修工事側で計上することになりました。
二つめは、木造部平屋側の屋根を支える柱構造が脆弱だったという点(写真)です。
素直に柱が一本立っているのではなく、積み木のような複雑な構造であり、束石も不安定な状態でした。増築時の「やっつけ仕事」だったのでしょう。
これは改修開始時の解体で判明したのですが、解消したいと改修発注の工務店に依頼したところ、これも改修費工事側で計上し、耐震補強を行った事業者に改修工事の一環として発注することになり・・その後、当該問題部分は、すっきりと一新され、さらに開口部も広がり使いやすくなる結果となりました。
費用については、木造部の梁がない問題は、筋交いの施工場所の変更・想定していた束石等の数が減った・仮設トイレなし(取り壊す既存トイレの活用)などの減要因+工事の少ない冬場の工事発注という特別事情で、当初の契約額通りの額で決着~接合部の問題は、当初の金額(解体・外壁等を除く)の1/3~1/2相当の金額を、その後の改修費に計上して決着です。
これで新築の際の基礎工事・木造積み上げといった初期段階に相当する工事は終了です。耐震補強事業者の選定時に感じた一抹の不安(第2回)は、杞憂に終わりました。木造部と鉄骨部の接合部の問題については、やや心配は残りますが、少なくとも、これまでよりは脆弱さは大分減ったとは思います。
ちなみに木造部の数値は、1981年の耐震基準(古い住宅の耐震目標)は超えていると言われています。工事完了後の11月に、能登半島地震の余震と思われる震度4の地震が福井でありましたが、元旦に感じた家の不安な揺れとは、だいぶ違う感じでしたし、開かなくなったドアもありませんでした。