老朽住宅改修 第7回 木造部分の一部解体~大変な土壁の撤去

2024年12月18日

耐震工事は木造部だけの予定でしたので、耐震工事に先立ち、まずは木造部の関連部分の壁、床、天井の解体です。

 

補強カ所は、1F・2Fを合わせて約30カ所に上りましたので、木造部全体が足場で囲まれ、シートが張られました。屋外では、前回の改修で父親が選択したガリバリウムの外壁は全て撤去され、新しく柱が建てられ筋交いが設けられる場所の壁は撤去。その周囲の床も天井も撤去されます。
屋内では、1Fは原形をとどめる予定の和室2部屋以外は床を撤去、全面改修予定の2Fは、床を除き、ほぼ骨組みが見える状態になりました。

 

解体工事は福井不在の間に行われましたので、最初の解体を終えた現場を見ると70年間の歴史をあちらこちらに見ることができました。囲炉裏があったと思われる場所に近い柱や、囲炉裏の煙が抜けたと思われる階段周辺の柱や土壁は、黒く燻されたような状態になっています。後に耐震補強工事の職人の方に聞くと、「これのお陰(写真)で、弱い構造でも持ちこたえてきたのでしょう」とのこと。
当時の建築構造でも、その生活スタイルにより徐々に補強されてきたのか・・と、いわゆる古民家を思い出し、素人なりに感心したところです。

 

実際に解体作業をした人に聞くと、「一番大変だったのは、壁に隠れていた土壁でした。」とのこと。家の北側は窓もなく一面が壁でしたが、そこに建築時の名残が残っていて、今回の耐震補強により、その存在が認識されたということです。また、2Fも最初は農業用の物品置き場だったことも反映し、数多くの土壁が残っていました。
さすがに、1F北側は新しく柱を立てて筋交いを入れる場所ですので、土壁を残すわけにもいかず、概ね撤去するしかなかったのですが、少し残念な気はしました。しかし、2Fは土壁を残して断熱材を入れたとのこと。それは次世代に引き継ぎ~あわせて撤去の大変さも伝えることにします。

 

何が大変なのかと解体屋さんに聞くと・・
「施工から時間もたっているので、乾燥が進んでいて、土埃が尋常ではない。」
「下地に竹が入っており、電動工具が使えない=電動工具では切れない。」
「やむなく人力ではぎとることになるが、さらに土埃が舞う。」
「搬出の際は、ほとんど土なので、手間もかかるし重い。」
「最後に、仕事終わって風呂に入ると、土を落とすまで時間がかかる(頭髪に入った土など)。」
といったコメントでした。

 

確かに金属外壁を撤去するよりは大変でしょうし、また、新旧外壁を2度撤去するわけですから、手間もかかるでしょう。最後に、「部分解体より、全面解体のほうが簡単です。」と言われて、改修を選択したのは失敗だったかと一瞬思ったことは間違いありません。

ちなみに、耐震補強工事の開始時及び改修工事後の解体費の合計(倒壊灯篭等の処分含む)で、約1万円/㎡(床面積)程度。過去に試算した全面解体より1/4~1/3で済んだことになります。