2025年1月1日
部屋の役割・動線の次に考えたのは、実際の生活面で不安のある点・不便な点の解消です。築70年・50年ともなると、電気配線、給排水設備等の生活インフラの弱さが目立っていました。
例えば、月に一度帰ってくると、生活人数が母親1人から3人に増えて電力消費が増えます。契約電力はそれなりの能力で契約してはいるのですが、なぜか直ぐにブレーカーが落ちる状況が続いていました。改修直前には、配電盤から「ブーン」という嫌な音が繰り返し出てもいました。
トイレでは、排水状況が悪く、排水が詰まることが続いた結果、母親が「トイレに紙を捨てないで」といった張り紙までする始末・・こうした状況の改善=生活インフラの強化が特に奥方の関心事項でした。
プラン作成期間中に、工務店の人が、電気・設備・解体等の各種事業者を集めて現地確認をすることになったのですが、その際にトイレが詰まり、設備屋さんが汗をかいて詰まりを解消してもらう・・実際の現場確認等の時間が無くなり、打ち合わせ前に次の現場に行くという珍事も起きました。その時に、電気工事の人から、「契約電力には対応できない低レベルの配電盤のままですね」と言われて、父親は一体何をしていたのか・・とまたも苦笑いするしかありませんでした。
生活インフラについては、電気配線は原則全て入れ替える、排水については問題の多い東側は2Fの新設キッチン・トイレと合わせて新設するという方針でしたが、当初予定していなかった西側にあるキッチン・浴室等の大規模な変更を実施することにあわせて、水道配管も結果的に全替えとなりました。後日、水道メーターにつながっていた旧来の鉄管の錆びついた状況を目の当たりにすることがあり、こうした床や壁を捲らないとできないインフラ部分は、最重要課題なのだと再認識することになります。
次の問題は、コンセントと照明の配置でした。
従前の家は家電製品が少ない古い時代の発想なので、コンセントも照明も数が少なく、実生活では、いわゆる「タコ足配線」が数多くあり、高齢者が夜間に移動するには危険な場所があちこちに見受けられました。できれば改善したいと思っていましたが、それを確定させたのが、1月から居候を始めた長女宅(旧叔父宅)のタコ足配線の多さでした。使用する家電製品に対してコンセント数が少ないのですから、やむを得ないのですが、今回電気配線を一新する際にコンセントを増設するのは簡単なはずと考えました。
自分の占有する部屋のどこにコンセントを配置するか考えてほしいと奥方や長女に検討依頼しましたが、最初の反応は芳しくありませんでした。部屋のどこに電化製品を置くかのイメージが固まっていれば、必要なコンセント数や配置場所の指定ができるのですが、両名とも「部屋ができてから電化製品の配置は考える」との発想のようで、私の依頼とは全く嚙み合いません。
そこで、「安全確保のためタコ足配線禁止」という原則を明示したところ、やっと重い腰を上げて、真面目に考えてくれるように・・出来上がりは、生活空間は3口コンセントを1室に3カ所、洗面・キッチン等の電化製品の多いところは4口コンセントも含め4カ所以上、ホールや納戸にも最低1カ所と、以前に比べると家中コンセントの感じですが、今のところタコ足配線のリスクは見つかっていません。
照明は人が長時間滞在する場所を除き、原則、人感センサー付きの照明としました。各ホール、廊下、主な据付収納・納戸内も人感センサー付きです。スイッチは、エリア別に複数の人感センサー分を1つにまとめて、見えない場所に隠して設置。日中光が入りにくい主要な動線上は、停電時にも光る常夜灯兼懐中電灯にもなる市販の照明(写真)をコンセントに差し込み、足元の明るさを確保します。
壁が増え、暗さが目立つ場所が増えたことを受け~高齢者の転倒防止の意味も込め~ての措置ですが、スイッチ押すのが面倒な私には、非常に便利な仕組みです。
また、屋外や水回りの照明を除き、費用節減の意味も含めて、原則、当該空間の主たる利用者がネットで自己購入(予算上限付き)としましたが、今のところ目立った問題はありません。それぞれの生活部分の照明を選択するという遊びも、コンセントや照明位置を考えるという精神的な負荷を緩和したのかもしれません。
少々、電気代が心配ですが、いまのところは顕在化していません・・・
ちなみに見積もり段階では、電気設備工事と給排水工事の合計で約2万円/㎡程度~木工事をわずかに下回る2番目の金額となり、キッチン・浴室・洗面・トイレ等を一新した住宅設備を上回りました。ここは新築と同等の投資だったと思います。