2024年12月29日
耐震工事終了までの3か月間が、その後の改修工事のプラン作成期間でした。最初の課題は、各部屋の役割・移動の動線の確定です。
木造部の耐震補強の結果、壁が増え、特に1Fの間取り・動線が変わります。以前は、玄関ホールから手前の和室を通り、襖をあけて、奥の床の間・仏間に行くという動線でしたが、今回の補強により壁で区切られるため、奥の和室への動線を新たに作ることが必須です。これに伴い、洋室化される2室の利用法を再検討することが必要でした。また、DKに隣接していた母親の旧居室の利用法も明確にすることが求められました。
最初は洋室化する2室の真ん中に新廊下を設置し、奥の和室への動線を確保するとシンプルに考えたのですが、耐震補強の結果、階段下への出入口と考えていた場所が壁になったので、このシンプルな案は難しくなりました。
試行錯誤の結果、思いついたのは、介護領域で多用されている「ユニット制」でした。
南向きの玄関扉を開けて入る8畳を超える広さの玄関ホールを起点に、東・西・北ユニットへの動線を整備~玄関ホールに接する形で、東西に小規模なホールを、北には奥に続く廊下を設け、それぞれから3カ所に移動するという形(図面)です。
これを思いついてからは、割とスムーズに部屋の役割・動線を整理することができました。
東西のユニットは原則プライベートな空間と位置づけ、東ホールからは洋室(介護室)・リビング(兼客用寝室)・トイレへ、西ホールからはDK・2F(階段で)・洗面浴室へ移動。北ユニットは公的な空間と位置づけ、廊下からは事務室・床の間(=面談室兼客用寝室)・仏間へと移動すると考えました。
次に考えたのは、各部屋からの移動は原則2以上にする=非常口~安全の確保です。
さすがに、トイレ・洗面浴室は諦めたものの、例えば3室構成の2Fは、階段からの出入口は2カ所、3室間は階段出入口を経由せずに移動できるように出入口を確保、さらに鉄骨部の屋上にあたる空間に出られるように勝手口用のドアを新設といった具合です。結局2Fは、3室で5カ所の出入口となりました。
また、1Fにおいて、どうしても2以上の動線がとれない場合には、外に移動動線を確保するという発想で、通常の窓だったものをテラス窓(床から窓になる形態)に変更+ウッドデッキを新設で外廊下にするなどの工夫を、工務店の助言も得て実施しました。
最後の課題は、月に1週間ほど福井に居る奥方用の空間の確保でした。
自分用には、北ユニットの事務室(唯一明かり窓のない部屋)に各種仕事道具のほか、父親用の余った介護ベッド等を置いて、短期的な滞在は可能としましたが、奥方用にはDKに隣接する母親の旧居室の活用を念頭に、工務店の助言も得て試行錯誤・・「事務仕事をする空間」、「夜寝る空間」、「福井で使う衣服等の置き場所」、「祖母・母親・奥方それぞれが嫁入り道具で持ってきた3本の桐たんすの保管場所」等の複数の課題を一挙に解決できそうなプランが、概ね完成したのは、契約直前の3月末でした。
この内容は、近い将来にまとめてみます。