老朽住宅改修の実学 第2回 母親宅の改修計画の始まり(2)

2024年12月3日

登記終了後に、木造部の耐震診断の補助を市役所に申請しました。
父親の代から縁のある近所の工務店の紹介を受けて、事前に耐震診断を行える事業者を選定してからの申請です。もちろん母親は自分では行けないので、代理人として動いている奥方に依頼してです。

 

窓口で相談して、必要書類を整えて、希望する事業者の名前を伝えて申請終了・・・と思ったところ、その日のうちに市役所から電話があり、「依頼のあった事業者は、耐震診断の事業者登録がないようですが、どうしますか?」という確認でした。
不思議に思い、近所の工務店に連絡・・結果は、紹介された事業者は今期の登録を忘れていたとのこと。急遽登録して、無事に事前の打ち合わせ通りに紹介事業者に決まる~一抹の不安を残す顛末もありました。

 

10月末の現地調査の日、母親は不機嫌そうでしたが、奥方が何とかなだめて、半日で無事終了。
その際、調査の人から「2Fは少し揺れている気がする」「計算してみたいとはっきりは言えないが、数値的には0.1以下と思う」と言われて、ほっておくと倒壊するかもしれないと改めて思ったところです。
また、診断結果に基づく耐震補強のプランは12月末になると言われ、「母親と相談だが、実際に補強に着手すると思う。」と伝え、「市役所提出版とは別に現実的な案も作ってほしい。」と依頼しました。
耐震工事自体の補助を受けるとなると、礎石の上に直接柱が乗っている「石場建て」の構造を、木造部全体を浮かせて移動しコンクリートの基礎を全体に新設することが必要になると知識としては知っていたので、「全額自己負担で構わないから、現状を生かして補強する方法を考えてほしい」という意図の依頼でした。

 

工期は1月からの3か月程度という話でしたので、その間、母親をどこに住まわせるかという問題が最大の課題に。母親はその前の冬に家で転倒して数か月入院した経過があるので、冬だけ施設に退避できないかと母親担当のケアマネに相談していたのですが、その頃ちょうど、家の近くにあるサービス付き高齢者住宅が、入居者募集の一環で「お試し入居」を始めたと報告を受けました。

早速に母親と見学へ・・乗り気でなさそうな母親を説き伏せて、あとは契約だけというところまで漕ぎつけました。

 

しばらくして母親が家で再度転倒しているところを見つかったという連絡を受けたのは、他のコラムで書いた通りです。「お試し入居」は取りやめ、母親の安全確保のために正式の入居契約を締結しましたが、その結果、母親宅は、概ね空き家状態になることが決まりました。
そこで、再度の選択が必要に・・・「空き家のままとして近い将来の取り壊しをする」「次の世代も住み続けられるように再投資する」という2択です。
3つの視点から再投資と決めましたが、これは次回に。

 

なお、耐震診断の費用は、数十万かかるとのことですが、自己負担分は1万円(その他は補助)。
奥方の実家についても、将来判断の材料として耐震診断は受けるように勧めているところです。実家の始末を考えている人には、耐震診断結果は重要な情報と思います。