実学24:会議録は、会議の前に作ってみましょう。

2019年12月8日

会議中に、会議に参加せずに、ひたすらメモしている人を見かけます。
議事録を作ることを指名されてのことと思いますが、こうした人を見ると、いつも「手を止めて、会議に参加して」と促すようにしています。
せっかくの意見交換の時間、できるだけ多くの人の見方を聞きたいという主催者側の立場もありますが、議事録・会議録を作成する立場だった頃の経験もあります。

 

30年ほど前、国の審議会の模様を文書にする役割になりました。
最初は、ひたすらメモをしてましたが、会議から暫くすると、メモを見ても何の意図の発言だったかわからなくなりました。その結果、発言自体は文字で書かれていますが、意図が不明確~記録保存以外には使えない「発言記録」=「議事録」になりました。
次の機会には、録音しながら、私自身は会議の様子を見て、会議の流れ、発言意図を理解しようと努めました。一応、理解したと考えてから、会議後に録音を聴いて驚きました。各委員の発言自体を、そのまま文字にしても、論旨が飛んだり、結論がなかったりと、見るに耐えないものになるとわかったからです。
当然ながら、会議中に理解した線で、各委員の発言を「意訳」して会議録にしましたが、幹部からは、「こんな明確な発言あったけ。でも、分かりやすい。」と、記録保存が目的の国会議事録レベルとしては不可ですが、会議結果を次に活かす会議録としては及第点をもらいました(各委員に事後に発言確認したようですが異論はなかったようです)。

 

この件で、人の発言を正確に記録しても、ほぼ意味あるものにはならず、会議で大事なのは発言者の意図をどう理解するか~会議に主体的に参加しないと理解できないとわかりました。
また、国会や審議会と違って、内部の会議では、「次の会議に活かす」という視点からは、誰が何を言ったかも、ほぼ意味がないことを、そのうち理解しました。幹部が何を言ったかを記録しても、その後の状況変化等で、発言の方向が変わるのはよくあるからです。

 

それよりも、その会議で何が決まり、何が次の課題となったかを明確する会議録が大事です。

この内容を幹部から一般職員までが共有することで、次のステップが無駄なく始められるからです。
この会議録を前提にすれば、主催者又は進行役が、会議の最後に「本日決まったこと」「次の課題と注意すべき点」「スケジュール・責任者」の3つを整理し、これらを文字にするだけで、立派な会議録になります。

1人の職員が、会議の場にいながら、会議に参加せずに、ひたすらメモしているという残念なこともなくなるでしょう。

 

もう一歩先を行けば、会議前に、主催者又は進行役が、「本日決めるべきこと」「次の課題となるべきこと」「今後のスケジュール」を頭に置いて会議の進行をすれば、ほぼ間違いなく、その通りになるでしょう。一番考えている人の結論になるのが自然だからです。
こう考えると、会議の前に、会議録(案)が既に作成可能であり、それをイメージして会議をうまく進行できれば、無事に(案)がとれて会議録になるはずです。
皆さん 何度か試してみてください。