実学22:1つのテーマで、3回の会議を1セットと考えてみる。

2019年10月8日

病院、福祉事業に限らず、組織内部の会議は、ほとんどは毎週○曜日、第3○曜日などと、定例化しています。定例化することで、複数の参加者の日程確保が容易になりますし、前週・月の実積データがまとまる時期に行うことで、合理的な判断も可能になるからです。

 

しかし、毎回、実積データから課題を見つけて対応方針を決めるのは難しいものです。
当該課題が一時的なものか構造的なものかの判断も難しく、構造的な課題に対処療法的な措置を繰り返しても効果が乏しいのは当然です。

長期に停滞している某病院の経営会議の模様を聞いたことがあります。データ等から見て、診療レベルが低いと思われる診療科を対象に「手術件数を増やせ」と短期的に尻を叩くのを繰り返している様子に苦笑い・・医師のレベル向上や過大な医師数の削減、患者紹介を受けるための診療所との関係づくりなどの本来的な取り組みは、検討対象外のようでした。

 

こうした状況の他、月1回1時間の定例の経営会議と聞いたので、次の3点の事項を次回の会議の議題にしては・・と提案をしました。
ア 特定の診療科で直ぐにできそうな改善事項について、該当診療科から方針発表
イ DPC(入院報酬)の算定について、課題のある診療科とその内容報告
ウ 各診療科の手術等の件数の中期変動の報告

 

これらの提案の背景には、別の専門会社で診療報酬の算定状況について、1か月分のデータで分析作業が進めていたことがあります。

アについては、当該分析で該当診療科が明示され、自院でも継続して同様の集計が容易であり、改善活動が軌道に乗りやすい~翌月からでも、改善効果はモニタリングできると判断されました。
イについては、1か月の分析だけでなく、自院で数ヵ月分の分析をしてから診療科別の取り組みが望ましいと考えたことから、まずは状況説明として、翌月に該当診療科の方針発表・翌々月にモニタリングという手順~アの1か月遅れで進めるのが効果的と考えました。
ウについては、手術数の時期の変動ではなく、そもそも絶対数が少ない診療科があると、専門会社の分析で伺えましたが、追加で調査分析しないと説得力がないと考え・・翌々月に該当診療科の方針発表と考えました。

 

このように、1つのテーマについて「状況・課題の認識」「課題解決方針の明示」「解決効果のモニタリング」という3手順を想定し、各手順を3回の会議に分けて理解と解決を促す~1つのテーマで3回の会議を1セットとすれば、対象者の理解も深まり、その場しのぎの発言も減り、効果的な定例会議になるという発想です。
当日の会議も、テーマは違いますが、3手順に該当する事項が必ず議題となり、同じことが続くことも減り、自分の部署も何かのテーマには対象になるので、参加者の集中力も継続するという狙いもありました。

 

残念ながら、こちらの意図(まず改善の方法論と経験則を得る)は理解されず、幹部の焦りからか、専門会社の一次分析結果の大半を検討事項にして会議開催されることになりました。
一応、参加・見学の予定ですが・・どうなるかは予想の範囲内に違いありません。
もし、予想外の展開があれば、それはそれで楽しい時間になるでしょう。