実学21:会議の主催者は、会議終了時のイメージを明確にしましょう。

2019年9月8日

会議の目的には、指示伝達、情報共有、合意形成など、多様なものがあります。
貴重な時間を費やして、多人数を集めて会議をするのですから、参加者の認識が、始まる前と終わった時で、あまり変わらないようでは単なる時間の浪費です。例えば、幹部会で決まったことを単に伝えるだけなら、わざわざ会議という形式をとる必要はありません。文書の掲示・配布、または一斉メールによる伝達で十分でしょう。

 

ある法人の管理職に困っていることはないですかと聞いたときに、苦笑いするような「愚痴」がありました。

それは、「幹部会で決まったことを会議で伝えろと、本部から伝達内容が記載された文書が届くが、それしかない。大概は、職員から質問や疑問が出るが、決まったことの背景や経過を知らないので職員に回答できず、最後は、『決まったことだから、やるしかない』と言うしかなく・・変な空気で会議が終わる。」というものでした。
この会議が終わった時には、「決まったことを新たに知る」という変化はあったのでしょうが、その背景・過程については不分明なので、「本部が、また勝手に決めた」という不信感が強まり、「この管理職も、単に伝達するだけの役立たず・・」という認識が残っただけだったのかもしれません。

 

この事例の場合、本当の主催者は、本部からの文書を会議で読み上げた管理職ではなく、本部担当者と考えるのが妥当でしょうが・・もし本当に、職員の認識が私の予想通りだったとすれば、この主催者は指示伝達という会議開催の初歩的な目的は達成したものの、職員意識を変えるという最終目的には失敗したと言わざるを得ません。
こうしたネガティブな職員意識では、期待する成果の水準に届くことは難しいからです。なぜ指示伝達された事項をやらなければならいのか、その実施は職員一人ひとりに○○という効果を与えるなどの、意味や効果を理解しないままで、言われたことを単に処理すると、どのような残念な結末になるかは皆さんにも経験があるでしょう。

こうした残念な結果にならないよう、職員に指示伝達する場で起きるやりとりを、この法人の本部担当者が的確に想像できれば、少なくとも苦笑いするような状況にはならなかったはずです。

 

特に、意思決定するような会議では、こうしたイメージづくりは大事です。
例えば、私が主催者の立場として考えるとしたら、「決めたことが円滑に実施される」「そのためには、満場一致とは言わないが、概ね8割以上にはやむを得ないと納得してもらう」と、最初に終了時のイメージ~次に8割の納得のためには・・と終点から逆算で考えて、
「どういう点が、関係者の関心事項で、会議の場で質疑等になり得るか」
「会議中になくても、後で『こんなことは聞いてなかった』と言われそうな点は何か」
「この案件で、あれこれ最後まで拘るのは誰か」
と、相手の都合を想像して作業にとりかかるようにしています。

皆さんも「こうなるはずだ」「こうあって欲しい」と、自分の都合で考えて、うまく行かなった経験は多いでしょう。

 

まずは、基本的に全員反対・・その前提で、必要な納得をどう取り付けるかと考える。
そうすると、自ずと会議前の準備が大事と気づき、事前に、いろいろとイメージするようになるものです。