実学19:自信のないことを依頼された時こそが楽しむチャンスです。

2019年7月8日

前回はチームに与えられた仕事を、どう分配するかというテーマでしたが、各メンバーが分配された仕事をどう受け止めるかで、その結果・成果が大きく異なることは、皆さんにも経験・実感があるでしょう。

 

第16回で題材としたPT(プロジェクトチーム)で本務と違うテーマを検討するという法人の取り組みは、まさしく過去に経験のない~自信のないことを依頼されている状態です。
理事長の意図が相手に正確に伝わっていないという問題をクリアした後も、PT自体はうまく行っていないようでした。PTのリーダーが他のメンバーに仕事の分配をするのですが、全体的には「やらされ感」がいっぱいで、リーダー1人が空回り。当初の目的と違って、形だけを整えることに終始するもの・・中には、議論が拡散するばかりで、何も実行に移せないのでは・・としか思えないPTも出てきました。

好奇心や協力心のないメンバーを選んだのが失敗と言ってしまえば、それまでですが・・。一応は、理事長としては将来を担う可能性のある一人として人選してるはずですので、簡単に切り捨てるのも残念です。

 

自分が20~30歳台のときに当てはめると、「この仕事を私に託した上司や先輩が責任取ってくれるのだから、好きにやってやろう」と考えて、子供の頃の「自由研究」のように、あれこれ試してみたことを思い出します。そもそも私がやったことのない仕事を託すわけですから、失敗して当然・・だから上司・先輩もそう考えているはず。だからこそ、冒険して楽しむことができると考えたわけです。
こうした姿勢を苦々しく思っていた上司・先輩も大勢いたでしょうが、一方では、一緒に「悪乗り」して、発展的に考えを広げた先輩もいて・・その後の政策につながったこともあります。こうした経験の繰り返しの延長線に、今の私があるのでしょうが、こうした経験を安心して積むにはいくつかの条件があるのかもしれません。

 

例えば、中途半端に本務と関係するテーマに関わらせないこと(自分に関わると考えが保守的に)。リーダーではなくても、こうした経験のある人がメンバーの中にいること(リーダーの相談相手に)。仮にうまくいかなくても幹部に謝ってくれる信頼できる上司・先輩がチーム外にいること(失敗を恐れなくて済む)などは、直ぐに思いつきます。
少なくとも、数十年前の私には、こうした環境があったことは間違いありません。もちろん上司や先輩も、失敗を良しとはしないので、陰で種々のサポートはしてくれていたのでしょうが、過度に心配して、あれこれ細かく口出しせず、私のやる気を引き出したことも大事な要素だったと思います。

 

さて、自分の経験を振り返り、今のPTに当てはめると、いくつかの条件が整っていないようです。次の機会には、この環境を整えてのトライアル開始を助言してみます。
それでダメなら、人選の問題なのか、別の問題なのか、改めて考えてみます・・

ただし、今回のPTでも、一人でも楽しかったと言ってくれる中堅職員が出ることは期待してます。