実学18:自信のあることを他者に託すのも役職者の大事な役割です。

2019年6月8日

前回は、自分1人で出来ることの何倍結果を出しているかを考えるというテーマでした。
役職者が自分のチームの各人への関わり方を変えるという切り口でしたが、実際には、チームに与えられた課題全体を、どう分配するか・・という点から始まります。

 

何でも自分でやらないと気が済まない人は、他のメンバーに最低限のものしか分配していないと想像されますが、そこから一定の課題を託すとした際に、何から始めるかです。
誰しも自信のあることは自分で、何となく苦手なことは他に任せたくなるものですが、皆さんが、その立場になったときは、どうされるでしょうか? 種々の選択はありますが、全ての課題について、やり終える期限があるという前提で考えると・・

 

期限までに課題が終わらないと、役職者=チームリーダーの責任が問われ、その能力が疑われるのは普通のことです。幹部から「いったいどうなっているのか」と叱責される場面もあるでしょう。その際「他のメンバーの教育のため・・」と説明したところで、「意味はわかるが、期限を守るのは君の仕事だ」と言われるだけでしょう。
言い換えれば、「一定以上の質のものを期限内にやり終える」という必要条件の下で、「他のメンバーの能力を上げる実験を行う」という問題となります。こう考えると、自ずと、処理する自信のある分野の課題を他に託すという選択になるでしょう。仮に、他のメンバーに託した課題の進行・内容が拙くても、最後は自分で引き取って処理することで、「期限内にやり終える」という必要条件はクリアできるからです。加えて、自分の苦手なことのスキルも上がるという反射的な効果も期待できます。

 

もちろん自分の負担は少ないほうが良いのは当然ですから、託した課題の進行状況をモニタリングすること、その結果、今の発想だと期待される終着点にたどり着かないと判断される場合には少々軌道修正を促すことを繰り返すことが必要になります。その際、「聞いてやる」という態度や、「ああしろ・こうしろ」といった命令口調は、課題を託した相手のやる気を削ぐのは当然です。「任されたはずなのに」「そんなに心配なら自分でやれば」と相手に思われたら、「実験」は失敗です。

 

私も、この点では多くの失敗を重ねて、自分で最後に処理することを繰り返してきました。今でも試行錯誤中ですが・・相手と話す場所や位置、相手に伝える口調や例示など、それなりの成功体験もあります。

例えば、
場所については、相手のテリトリー(部屋・机など)に出向く、外での食事の場で
位置については、極力、相対した状態では聞かない
口調については、普段以上にくだけた感じで(非公式という意味・・)、突っ込んで聞かずに感触を探る程度で(こちらからリサーチするという意味・・)
例示については、危ないなと思った事項に応じた、自分の失敗談をうまく語るなど・・

 

こうしたスキルは普遍的なものではなく、人それぞれのものです。

良いものがあったら、将来、お会いした時にでも教えてください。