実学15:各役職の役割と責任に対応できる人が育つ組織かを自問自答する

2019年3月8日

「こうあって欲しい」と考えて、各役職の役割と責任を決めるとしても、現実に、それが担える人が十二分にいるということは絶対にありません。

1~2割が合格点というのが普通・・もしかすると誰もが不合格というのが現実かもしれません。
こうした場合、幹部の仕事のほとんどは、人を育てること、いや人が育つ環境を整えることになるはずです。

 

しかし、「指示しないと何もしない職員ばかり・・」と嘆く法人幹部の働き方の評判を現場に聞くと、「こうしたいと持っていくとダメ出しばかり」「どうせ最後は自分で決めるのだから指示を待つほうが良いと」のこと。
一方で、幹部側の発想も「持ってくるものは現場の意向は反映しているが、法人の方向性とは違う」「理事長等に説明するために必要な事項が全く考えられておらず説明できない」など、ありそうな話ではあります。

ただ、こうした上司部下の遠い距離感のままでは、とても人が育っていく環境とは言えないでしょう。

 

こうした状況は、仕事の進め方を変えることで改善する可能性があります。
上記の事例は、視点を変えると、次のように見ることができます。
ア  現場は、幹部が見えている法人全体の状況が見えないまま、成案を作り幹部に持っていった結果・・一蹴されて、スタートラインに逆戻り。徒労感が残る繰り返しでギブアップ。
イ  幹部は、現場の状況を熟知しない状況で、いきなり成案を持って来られて判断できず、法人全体との兼ね合いで突き返す・・法人の状況を強調し過ぎた結果、ダメ出しととられて、再度のチャレンジが出てこない。

 

いわば物事を一発勝負で決めようとする仕事の進め方に起因した問題と捉えると、多段階で情報・意識の共有化を図るという進め方に変える~具体的には現状認識の段階(現場の状況・法人全体の意識)、対策案の作成段階(複数の選択肢で検討)、反対意見を想定した調整段階(理事長対策等)と3段階で協議して案を詰めていくことで、案自体の質も上がり、また手戻りも減るため徒労感もなくなり、これで法人決定となれば達成感も高まるでしょう。

 

最初は、幹部・上司から見れば半人前、0.1人前でも、こうした過程を繰り返し、部下と対等の視線で向き合い、次の実現できそうな小さな課題を提示できれば、部下だけでなく、幹部・上司側の力量も上がることでしょう。もちろん、半人前が3/4人前に、0.1人前が0.2人前に・・これだけでも、赤子の成長と同じく、大きな前進と考えることが大事です。
部下を一方的に指導するというのではなく、こうした双方の情報、考えを共有しながら、一緒に何かを作っていくという幹部・上司側の姿勢があるか・・まずは自問自答からです。