2025年2月2日
築70年の老朽家屋を改修して利用すること自体が古い物を生かすということですが・・そのパーツである設備・材料・備品も、今回いろいろと再利用の方法を考えてみました。
最初は、和室という空間の再利用です。
当初から北側奥の和室2室は、当初から原形のまま活用する方針でした。父親が、雪見障子を追加したり、欄間を新設したり、床の間の塗り壁の色にこだわっていたことを知っていたからです。しかし、各部屋の性格付けには、しばらく時間を要しました。
仏壇のある部屋 通称仏間は、以前は冠婚葬祭の中心となる場でしたが、今では回忌法要の際に旦那寺の住職が来て、阿弥陀経等をあげる程度です。かといって仏壇処分して、全く別の用途にというまでの度胸もありませんので、直系の親族だけでなく、子供を得ずに亡くなった叔父夫妻・姉の遺影も含めて、過去の思い出を保管するメモリアルな場として整えることに・・雑多な観光記念物が並んで奥に死蔵されていたサイドボードを再利用して、各人の遺品となるようなものを選んで再配置、父親の趣味であちこちに掛けられていた額装は全て仏間に集合としました。
ちなみに、母親や私の遺影の配置場所も準備済みですので、次世代が困ることはないはずです(笑)
隣の床の間のある和室は、父親等の趣味で集めた掛け軸以外は、過去の人の記憶を思い起こすような品物は置かず、ビジネス上や近所等との込み入った話をする面談室として活用することにしました。現在の用途に純化させるということです。
座布団の苦手な人は、隣接の縁側=2畳ほどの空間に他では不要となったソファーを置いて面談という形に~この場のテーブルには、冠婚葬祭を自宅で行っていた頃に活躍したと思われる大きな青い火鉢に、ガラスのテーブルトップを載せたものを再利用しています。相手を驚かせるには十分の趣向です。
次は、和室の洋室化で不要になった建具~襖や障子、ガラス戸、そして欄間の再利用でした。
和室が2つ無くなり不要となったものの中には、今では発注しても作れない=職人が限られているものがあると工務店の人に聞き、建物として再利用する改修後の家で、これらを何らかの形で新たに使えないかと考えました。
ネットで検索すると、同じように考える人は多いようで、多様な再利用法がみつかりました。これらの中から、改修後の姿に合いそうな手法を選んで、工務店などに、設置場所の造作や建具の加工を依頼しました。
具体的には次の形に落ち着きましたが、いずれも単なる飾りでなく、実用的な意味合いを持たせています。
1 雪見障子4枚+板襖2枚~奥方用の桐ダンス等の収納部の開口部に再利用
2 ガラス戸2枚(玄関ホールと和室の間仕切り)~東縁側とサンルームの間仕切りに再利用(吊り戸に加工)
3 欄間3枚~1・2の上部の風抜き窓、及び新しい廊下(自然採光なし)の常夜灯に再利用。
最後は廃材の利用です。工務店からは、新しい材料を利用したほうが、手間を考えるとかえって安くなるとは言われましたが、あえてチャレンジしてみました。家の中で実現したのは、旧階段周りの床材だった黒光りする廃材を、仏壇横の納戸の床材に再利用することだけでしたが、それで十分と考えました。
この床材は、鉄骨部が増築される前の木造部だけの時代に標準的に使われていた床材だったという個人的な記憶があり、それを部分的にも残したい・・極めて感傷的な考えだとは自覚していますが、家の経てきた歴史を、大きく表面を変える改修後の家にも見えるように残すことは、きっと意味があると感じたからです。
その他の廃材は、農業用小屋の2F等で再利用することにしましたが、これは別の機会に。
今回の話は、所詮は自己満足の話ですが、せっかく改修を選んだのですから、改修時でないとできないこと=全部解体・新築ではできないことを やってみるのも面白いと思うかどうかということでしょうか。
再利用のための造作費や加工費はかかりますが、新しい扉・飾り等を購入するのと同等又は安価だろうと考えました・・が、実際のところはわかりません。
なお、建具の再利用の3点は、改修後の家に来た人の感想では、思いのほか良い印象をあたえているようです。特に欄間の常夜灯(写真)は、欄間自体が近くに見えて面白く感じるとの由。
建具にこだわっていた亡父が、これを見たら感心するか、怒り出すか・・
たぶん後者でしょう。使い道を間違えていると(笑)