Vol.43 国立病院機構の平成23年度決算を読み解く(その2)

2012年10月15日

前回通信後に、近くの人が二人亡くなりました。

一人は、近所の50歳代後半の女性。脳死判定を受け、臓器移植がなされたとのこと。両親は、私の家族が臓器移植に同意しているのを知っており、臓器移植はやめて欲しいとの意見。

両親は、遺体を「傷つける」、臓器移植にアレルギーが元々強いのですが、加えて、姉が脳梗塞で倒れたとき、救急車で運ばれた福井日赤から、「脳幹が損傷し、このまま脳死か植物状態に」と通告された経験があり、その後の姉の状態を見るに、脳死判定(をする医療機関)を信じられないのでしょう。

脳死判定と脳死状態になるとの診断(予言)は、意味が違いますが、素人には無関係です。

こうした不用意な患者・家族への対応=精神的なアプローチの欠如が、不信感を高めていることを医療提供側は、理解することが大事と感じます。

 

もう一人は、83歳の叔母(母親の姉)が亡くなりました。

長年肝臓を患い、クリニックに通院していましたが、最後は、本来急性期病院である県立病院に2か月弱入院。もう駄目でしょうと言われてから、半月以上家に戻ることもなく・・・

母の兄弟姉妹は、90歳を超える長女だけとなりましたが、その長女も、数年前に、福祉施設で転倒骨折し、その後、療養病床にずっと入院し、認知症も相当進行しているとの由。

こうした近親者の厳しい状況を垣間見るに、在宅療養を中心に拡大したいとする国の政策が、地域社会や一般家庭に受け入れられるか・・疑問が強くなります。

親戚の事例は、もし、本人が自宅に戻れば、夫も息子も既に故人で、息子の嫁だけの家族では負担が大きく、共倒れになったことでしょう。姉の家に出入りしている訪問看護・介護サービスの実力を見るに、これらの地域サービスだけでは確実に支えられません。

どのように事業者の実力を上げるか(報酬を上げても実力は上がりません)、この点の具体的な方策が欠けているようです。

来月、KKR(国家公務員共済組合)の病院長研修で講師を務めますが、こうした実感を、どう伝えるか思案中です。

 

さて、今回も、先月公表された 国立病院機構の平成23年度決算を読み解きます。

NHOグループの経営体制の特徴と抱えるリスクについて、考えてみます。

 

国立病院機構の平成23年度決算を読み解く(その2)