2025年3月30日
今回の改修工事では、工事関係者も初めての取り組みが結構ありました。その中でも関係者が混乱の極みになったのは隠し扉の設置です。
9月後半、2回目の福井滞在を始めたとき、事務室(旧和室)の出入口に扉がついているのに気づきましたが、それを見て唖然としました。そこにあるのは介護室と事務室の間に設置する予定の分厚い棚付き扉で、「場違い」です。さらに、柱と扉を接続している丁番は一般的なもので、その存在が目立つ・・隠し扉としては「完全に失格」のものでした。
また、薄い棚付き扉は2枚あるべきところ、壁に立てかけられているものは1枚しかなく、その丁番も一般的なもの・・これらも伝達問題の一種かと思いましたが、隠し扉は工務店も気にしていたので、さすがに問題は別のところにあると感じながら、工務店に状況報告と工事やり直し依頼のメールをしました。
工務店から「えっ」という感じで建具屋に確認するとの返信が来て、その後、「分厚い扉は重いので隠し丁番は使えないと言っている」との連絡を受けました。直ぐに、当初指定したS社の「隠し丁番」の一般用・重量用・超重量用の3種類のURLを送ってから、「建具屋に早く買えと言え!」と伝えました。
9月前半にとりつけられた「両側折れドア」も、関係者は初めての取付けだったのことですが、さすがに1枚目は悪戦苦闘していたものの、メーカー品であり、説明書もあるので、2枚目以降は順調に取り付けていました。これとの対比であれば、S社の丁番もメーカー品であり、説明書・動画もあるので、何も変わることはありません。違いがあるとすれば、「両側折れドア」は完成品ですが、「隠し丁番」はパーツ・・建具屋の知識や意欲によって、その使用方法が変わる=「隠し丁番」を使うのが面白そうと考えない人は、調べもしないで「重い物には使えない」と拒否的になり、要求する仕様無視の御座なりの対応になるのかと考えました。
さすがに10月に再度取り付けに来たときは、示したURLの効果もあったのでしょう・・事前に調べた様子で、悪戦苦闘ながら何とか取り付けていました。
しかし、別の大型金具を使う天井までの扉については、当日、その扉~そうは言っても単なる1枚の板~を現場に持ってきて、壁紙を内装屋さんに張ってもらうという段取りでしたが、その板を持ってきませんでした。その板は、隣の壁とあわせて、「何枚かで一つの絵になる壁紙(家族内ではモネと言われた)」の部分ですので、内装屋さんが張らないと駄目なのですが・・・建具屋は紙を持って帰って自分で張ると言い張ります。
さすがに問題と思って、工務店に急報し、直接、建具屋に電話してもらうとともに、私からも「これは高い壁紙であり、少しでもズレると全く意味はなくなる。失敗したら、そちらの費用持ちのやり直しでよいのか」と迫りました。
これも大型金具の用途・事例を事前に見ておけば、自分で張るなどと言うはずもないのですが・・工務店からの電話でやっと自分の置かれた状態を理解したようでした。その場の内装屋さんが助け舟を出して、板に張るべき紙の位置関係を細かく指示伝達して、その日は終わりました。
その数日後に、指定の壁紙を張った大きな一枚板とともに建具屋があらわれて、取付け開始です。
説明書等を事前に見てきたのか、予想以上に最初はスムーズでしたが、横の壁とのデザインの調整・開き具合の調整が両立するポイント(写真)を探すのに相当苦労しているようでした。一段落して、前回の事情等を再確認すると、「実は大型金具のサイズを間違えて発注したので遅れた」「必要なサイズのものを急遽再発注したが、白色のものしか間に合わなかった(黒を指定していた)」「壁紙は失敗が怖いので外部の内装屋に依頼した」とのことでした。
これ以上、負荷をかけても成果は乏しい・・と考え、前回、依頼した棚付き扉の調整だけ終えてもらい隠し扉の設置作業は終了です。
大型金具利用の扉について気になった点は、後日、ネットで部材を購入し、自前で取付けました。たぶん依頼しても、要求する水準の部材を探せないだろうと考えたからです。自分の仕事に満足とは言えませんが、一見して違和感がある感じではなくなりました。
一連の工事で、工務店が使う事業者・職人のレベルは総じて高く、仕上がりは良いと思いましたが、家具・建具に関しては、正直、他の事業者に代えて欲しかったという実感です。特に、母親が地主の注文家具・建具専門店に依頼した家具の仕上がりが良かったので、そう思うのでしょう。結局、奥方用の据付家具は工務店の判断で、当該専門店への作成依頼(発注先の変更)になりました。
今回のように段階的に改修が進む場合、仕上がりが悪いと思ったら、その後は、元請事業者に対して使用事業者の変更を申し出るのが良いと思います。残念ながら、隠し扉は最後の最後になったので、事業者変更を依頼する時間もありませんでしたが・・少なくとも、事前に、どんな仕事をしたか過去の実例を見せてもらうべきだったと反省です。