2022年2月21日
薬価制度に関する連載の3回目は、新薬の保険収載についてです。
前回までの薬価改定と異なり、新規医薬品については、これから医療機関が使い始めるため、実際の取引額を基に薬価を算定することはできません。そのため、公表された一定のルールに基づき、ある意味では、「人為的」に算定されます。
算定される額の妥当性は、その算定ルールが合理的か、納得的かで決まるということです。
しかし、この数年、このルールに従って計算すると、価格面だけを見ると著しく高額に感じる医薬品が出てきて、新聞紙上を賑わすことがありました。
算定ルール上の合理性が乏しいために生じたものは、そのルールの補正が必要ですが、一方では、「対象患者数が著しく少ない疾患・難病」を対象とした、「これを使用すると完全に病気が治る治療薬、又は、今まで治療法がなかった領域に新しく出た治療薬」といったものは、算定ルールが合理的としても、高額になるのを避けられないという事情もあります。
こうした、有効な治療法がなかった分野等の医療を革新的に変える医薬品等に対して、公的保険制度として、どのように対応するかについて、私見をまとめてみます。