老朽住宅改修 第19回　改修プランを考える（9）～遊び心を反映する　その１

部屋の役割と動線、各エリアの区画と基本設備、部屋ごとの概ねの配置構成と基本収納も見えてきたので、そろそろ床や壁について勉強しようと思い、工務店や知人、ネット等から情報を集めてみましたが、最近の壁の色は白が基調と教えられました。

母親宅にも和室の周囲には伝統的な白壁も一部残っていますので、決して白が嫌なわけではありませんが、区画を分けて、白を基調とする部分と遊んでみる部分に分けてみようと考えました。

 

既述のように、介護のユニット制を参考に、玄関ホールから東西北の各ユニットに移動するという動線としたので、まず、その動線（＝玄関ホールに接する東西のホール、北への廊下及び2Ｆへの階段）は、白以外の同一色の壁にしようと考えました。玄関ホールから目的の部屋までの間の移動空間の色を揃えるということです。
何色にするかとの決め手はありませんでしたが、父親の代に選定した床材も和室の畳も茶系統と着想し、茶色の補色は青と調べて・・「床の間の塗り壁は青系統で変わっている」と工務店の人が言っていたことを思い出し、「旧応接の天井も半分くらいは青だった」とさらに連想し、この時点で「青系統」と選択しました。

 

「エッ～」という女性陣からの否定的な反応もありましたが、そこは押切り・・その後、数多くの「青」の壁紙のカタログから一つに決めるまでには紆余曲折はありましたが、無事に収まりました。

ちなみに、1Fの居室は、北側の公的性格のユニットに属する和室・事務室や、アクセントクロスのある部屋を除き、見事に白基調になりました。なお、2Ｆは長女の指示で決まっていますが、1Ｆの影響を受けてか・・青系の色がアクセントで用いられているのは面白いものです。

 

次に考えたのは、玄関ホール正面（新しくできた壁）、新廊下の西面（新しくできた壁）及びリビング兼客用寝室の西面の3カ所は、いわゆるアクセントクロスの場と位置づけ、長男に選定を依頼しました。新廊下については、移動空間の「青」の部分ですので、青を念頭にという条件は付しました。
その結果、出てきたのは「数枚がセットで一つの絵になる」タイプのもので、最初は私も「オッ～」と思いましたが、今さら否定するわけにもいかず、女性陣に打診することに・・ただし、リビングについては40年前のレコードとプレーヤーを再利用する環境を作ろうと密かに思っていたので、自分の趣味から中世の世界地図を模した壁紙～これも数枚で一つの絵になるものですが、長男の了解を得て女性陣に提案しました。

 

その反応は、予想以上に酷いものでした。
奥方の反応は、長男の選んだ玄関ホールのものは「モネ」、廊下のものは「ピカソ」と名付けたうえで、「モネはわかるけど、ピカソはどうなの・・」「世界地図は考え直して。世界地図の意図はわからないではないけど、他にないの・・」と、特に世界地図はお気に召さなかったようです。
次女の反応は、総じて「人が住む家には非常識＝ホテルならわかるが・・」というもので、リビングは自分たちが帰省した際に寝る場所とわかっていたので、特に世界地図は酷評されました。
長女だけは、自分の領域の2Ｆが自由にできれば・・1Ｆは好きにしてという感じで、唯一、「世界地図に各自が行った場所をピン止めして記念に残す」という壁紙を生かした遊びに関心～いや同情の姿勢は示してくれました。
しかし、ここは遊び心なので、女性陣の反応は無視して、対案も示さず、なし崩しの作戦に出ることに～原案のものを工務店が購入するとの形で見積もりに反映し、あとは工事中の決着に持ち込みました。

 

なし崩し作戦は成功し、工事の最終段階で、こちらの意図通りに完成。壁紙を張る職人さんが非常に上手な人だったので、見事に1枚絵に見える仕上がりになりました。玄関ホールの「モネ」には、家に来た人のほとんどが感心します。廊下の「ピカソ」には、「モネ」ほどの反応はありませんが、隠し扉を開けると出てくる構図なので、あわせて驚く感じです。
問題の世界地図（写真）・・ピン止め＝行った先の話題で話は進みます。私の狙いは成功と思っていますが、奥方の感想は「やっぱり張り方よね」と地図より職人の腕に感心しています(笑)

なお、奥方が職人さんに今回の改修に使った壁紙について感想を聞いたところ、「多くは白基調なので、今回のように多くの色を使うのは面白かった。使った青の壁紙は途中で廃番になったので足りてよかった。」「アクセントクロスも、一枚絵のタイプの経験は少ないので 無事終わってよかった。一枚絵のタイプは結構高いと思うので。」というものでした。

 

ちなみに、「モネ」「ピカソ」のお値段は、確かに廃番の「青」よりは結構しますが、「ピカソ」の裏の納戸内は壁紙なしで費用節減～私の選択の世界地図は「C国からの送料込みで1万円（全面）」と、「青」よりも安く済ませました。

遊ぶにも、それなりの努力はしています(笑)