2025年1月29日
家の改修の前後を比較してみせる有名なTV番組で、よく見られる手法の「遊んでいる空間」の有効利用。小規模ながら今回の改修で試してみることしました。
母親宅は古い時代の用途を念頭に作られていますので、現在では、その用を終えて、遊んでいる空間があちこちにあるな・・と思っていました。大規模な間取りの変更は行いたくなかったので、費用対効果の高い方法を考えました。最も効果的だったと思うのは、2Fの間取り(図面)です。
2Fは改修前後とも3部屋ですが、実は有効利用面積は増えています。
以前は、階段を上がるとL字型の廊下があり、一方は東側の部屋の入口につながり、もう一方は不思議なことに壁で突き当り(その向こうに、鉄骨部の広い屋上がある・・)、昔のタンスなどの物置・不用品の捨て場と化していました。いずれも居室とはガラス戸で仕切られているだけですので、耐震補強の面からは撤去しても、特に問題はありません。
この際、無駄な廊下を無くそうと考え、一方の廊下の多くは2F中央の収納場所に変更し、もう一方の廊下はリビングの一角に取り込むことで8畳の和室が10畳以上の洋室に拡大しました。これ自体には特段の追加費用はかかっていないと考えています。そもそも2Fは全面改修なのですから、間仕切りが減った分、かえって工事費が減っているでしょう。
また、リビングに取り込まれた元廊下の突き当りは、従来の壁を抜いて、鉄骨部の屋上に出る勝手口用のドアをとりつけ、廊下の本来の意味を生かすことにしました。この扉のお陰で、2Fリビングから鉄骨部屋上へのアクセスが容易になり、これまで遊んでいた屋上が、日常の生活空間に取り込まれました。もともと屋上の周囲はフェンスで囲まれているので、安全性に問題はありません。工事終了時には、屋上の1/3に自前で人工芝を張り、長女が置き場に困っていたハンモック(それなりの防水措置を講じて)を設置し、屋内の自由度も上がりました。
また、2Fキッチンの給水設備新設を生かして、その外側に屋上用の水栓も設置。屋上でのバーベキュー、遠い将来には子供の水遊びなども可能となるか・・と遊んでいた空間が、遊びの空間に変わりました。ドア1枚、水栓1個の追加で20万円もしないでしょう。
1Fでは、細々としたものが多いのですが、次のようなものをやってみました。大規模工事になったアを除き、エ及びオは、幾分は工事費に影響与える(壁床張った分、引き出し作った分など)でしょうが、10万もかかっていないと思います。
ア DK横に勝手口があり、そこに半畳相当の土間があった(浴室用のガス湯沸器が置かれていた名残)
→当初は使っていない勝手口を閉鎖し、DKの横幅拡大に利用しようとしたが、洗面・浴室の整備の結果、半分は浴室拡大、半分はキッチン横幅拡大に利用した。
イ 和室横の縁側に耐震補強壁ができたことから、東西縁側自体の本来の意味はなくなった
→東縁側は、隣室の仏間=慰霊の空間の延長線として花等を飾る場所として活用
→西縁側は、不要になったソファーを置き、隣室の面談室(床の間)の延長線の空間として、簡単な打ち合わせ場所に活用
ウ 昔から8畳もある玄関+ホールや、それに続くトイレにつながる廊下がある
→通過の空間とするのは惜しいので、旧叔父宅の和机+小椅子をおいて、玄関先での談話スペースとして活用
→トイレへの廊下をトイレ自体に取り込み、奥行230㎝に拡大させ介護対応に活用(扉位置の変更)
エ 旧応接の壁が部分的にトイレ側に出っ張っていた(古い床置きの暖房設備の置き場所の名残)
→壁を直線状に改修し、トイレ側の横幅を125㎝に拡大させ介護対応に活用(壁位置の変更)
オ 階段周りに、隣室との間の狭い通路、階段下の空間などがあった(鉄骨部増築前の名残)
→既述の奥方用の収納(桐ダンス設置等)に活用したほか、階段下は納戸として活用し、最後に残る階段1~3段の下にできる三角形の空間は、踏み板下に引き出しを設けて活用した(よくある手段)。
これらは、あくまで費用は少額・工夫の範囲内ですが、できあがってみると、その満足度は高いような気がします。
改修工事を考えられる際には、家の中の「遊んでいる場所」を探して、用途を考えてみることをお勧めします。