老朽住宅改修 第15回 改修プランを考える(6)~介護対応を整える その1

2025年1月15日

改修後の1Fの将来の利用を考えると、当面は母親、そのうち自分の介護問題となります。
末期がんの父親を在宅で介護した際の知見や新たな知識を活用して、介護対応の部屋づくりという実験を始めました。

 

今回の改修着手に至るまで、介護面では数年にわたり、少しずつは対応してきました。
父親を在宅で介護する際に行ったことは、いわゆるバリアフリー化・・敷居等の段差の解消、開き戸の撤去(=断熱カーテン等の設置)、玄関からの手すりの設置などです。残念ながら、玄関周りやトイレ・洗面・浴室周りは手を付けられなかったので、当面の弥縫策にとどまりました。
トイレに近く、1Fで最も広い当時の応接室を介護室として利用しましたが、洗面・キッチンに遠く、ヘルパーの動きにも無駄があるように思われました。

 

次は母親が最初に自宅で転倒した時です。再発防止策として、玄関を大きな両開き戸から引き戸(3枚引き戸で車いすも楽に入れるように)に変更したほか、車庫から玄関まで外手すりを設置(デイサービス送迎車から玄関までの動線整備)、玄関前の段差の切り落とし(段ごとに車いすを載せられるようにスペース確保)、屋内に介護機器としてレンタルで手すりを設置と措置を講じました。

しかし、どうしても西側にあるDKに隣接する自分の居室を変えることを嫌がり、その結果、東側にある遠いトイレへの移動は困難なため、部屋に仮設のトイレを置いて利用するという形が常態化しました。トイレの扉が開き戸だったことも既存トイレを嫌がった理由でしょう。

 

こうした経験と整備されてきた基盤を生かして、今回、自宅でどこまで介護対応ができるかと実験することに。まず、木造部1Fの東側でトイレに隣接する部屋を介護室と名付けて、徹底的にこだわってみました。
元は6畳和室と1畳の押入れ・1畳相当の縁側があった空間です。東側でしたが、押入れの存在等もあって決して明るい部屋ではありませんでした。奥方は「介護は明るい部屋で」との方針・・押入れを撤去して窓を新設し、その下にミニキッチンを設置。必要な電化製品は全て備え付け(もちろん今回発見した古い物も再利用)です。これでヘルパーの無駄な時間も減るはずです。
元の縁側が耐震補強で壁になったのを利用して、キッチン横は据付収納(天井高)にし、その他古い洋箪笥をベッドサイドに補助収納として設置。介護に必要な物品は全て同一室内に保管できます。

 

床は医療機関のリハビリルームの床と同レベルの転倒衝撃吸収材、ベッドは母親が大事にする介護ベッド(父親が買ったものらしい)、非常に重いのでその下には重量物用のスライダーを設置(一人で押してもベッドが動かせる)する方針です。父親の時のベッド移動が大変だったという記憶の反映です。
ベッドから出入り口までは壁沿いに設置した手すり(過去に設置したものの再利用)に沿って移動可能に、出入口は過去の経験でカーテンです。
手すりの上には、壁付のホワイトボード~介護事業者の連絡板も忘れていません。

 

次回に続く