旅の楽しみ85:東京から1,000km~小笠原村に上陸(離島訪問)

2023年3月21日

2019年以降、感染症の流行もあって、途絶していた離島訪問。久しぶりに再開です。
今回の目的地は、東京都小笠原村~東京で唯一足を踏み入れたことのない市町村で、東京から1,000kmの船旅です。これまでは、通常の定期船を使っての移動でしたが、奥方と共に還暦・結婚35年といった節目であることを言い訳に、クルーズ船利用となりました。

 

奥方は、往復3日を超える船の移動中、船内のイベントに小まめに参加し、クルーズ船の旅を楽しんでいるようでしたが、こちらはインターネットに隔絶された状況を活かして、司馬先生の「街道をゆく」の読書を船室にて専念です。30年ほど前の三峡下りの船旅で「三国志」を読破したことを思い出します。
しかし、朝昼晩と立派な食事が出るのには参りました。定期船でカレー・・普通の生活通りの粗食が良かったと後悔しても後の祭り。ひたすら、奥方の楽しみを邪魔しないように、お付き合いの時間でした。

 

さて、父島に到着すると、漁船に乗り換えて上陸です。
仕事柄、島に来ると医療の事情が気になりますが、村のHPによれば、医師は常駐・・少なくとも平日午前は毎日診療、重篤で搬送が必要な場合には海上自衛隊の協力を得て都内の病院に搬送との由。搬送に7~9時間程度かかることを除けば、数年前に行った同じ都内の青ヶ島より状況は良いように思われました。残念ながら当日は休診日で実際は見られませんでしたが、隣接して有料老人ホームもあるらしく、役場で介護職の募集が出ているなど、小さな離島の割には、医療介護の受皿は立派に思われました。

 

奥方の希望で、この時期に小笠原諸島近海で繁殖するザトウクジラを見るために、再度、漁船に乗って外海に。遠くに背びれは見えましたが、隣では、奥方が船酔いに・・そう言えば波照間島でも同じことがありました。
残りの時間は、島内北部を散歩・・離島でよく見る 女性と子供の姿が、父島でもあちこちに。きっと移住された人と思いますが、出産はどこでするのかと思うのは職業病でしょう。鹿児島の離島では、本土の病院入院が勧奨され、費用も出るというのがありましたが、これに近いのかもしれません。

 

わずか1日の滞在でしたが、出港時には漁船の一群が大漁旗を立ててお見送り・・概ね中間点にある孀婦岩(写真)・鳥島も、往路とちがった晴天のため綺麗に見えて、奥方は感激したとのこと。
こちらは揺れる船の生活続きに体調が少々悪化・・概ね部屋で読書でしたが、仮に、定期船利用なら、最低3泊の島滞在となりますので、違った帰路だったかもしれません。(笑)

 

お台場に到着した日は、偶然にも春分の日。例年より早く、桜が満開に咲いており・・浦島太郎のような気分です。浦島説話は、古代・中世の頃は、浦島と姫は船で異郷に行くという設定だったとのこと。確かに、今回は異郷への船旅・・船のベッドが合わず腰を痛めてヨボヨボ歩く私は、まさに異郷から戻って一挙に年を取った浦島太郎かもしれません。

旅の楽しみ82を見返すと、足を踏み入れていない市町村は、もう一つありました。沖縄 伊平野です。
白髪の浦島が、そこに行って「往生」とならないよう、体調と相談して企画したいものです。