2024年12月21日
一箭双雕(いっせんそうちょう)~一本の矢を一回放って、二羽の鷲を射ることから転じて、一つの行動で二つの利益を得ることを意味する四字熟語。6世紀の中国 弓の名手 長孫晟の故事に由来します。
さて、本日は冬至。この日を境に日中時間が伸び始めることから、古代中国では、続いた悪い事が幸運に向かう節目の日とされていました。
派閥の政治資金の不記載に端を発し、今は少数与党の政治状況~とりあえずの合意部分を臨時国会を延長して議決する方向、政治改革に関する与野党間の協議も中締めです。政治資金で攻め込む側は、企業団体献金・公開方法工夫支出の2つが最大の課題と狙いをつけ、与党の評判・政治活動の基盤を落として、次の選挙に向かう「一箭双雕」が狙いのように思われました。
あれはダメ・これはダメと個別行為にダメ出しするより、思春期以降の子育てと同じように、相手の考えも聞いて将来につながる基本ルールを共有し、それを双方が徹底するほうが効果的。政治活動の成長も同じように進むとも思うのですが、残念ながら「あれはダメ・これはダメ」の繰り返し・・今は亡き政党の30年以上前の政治スローガン「ダメなものはダメ」を思い出しました。
今回の騒動の実質は「政党・政治家の入と出」が「胡散臭い」という点にあり、その点の透明性の向上が第1課題~政党・政治家別の活動を把握し、それに見合った資金・役務の動きなのか判断する素材が必要だというのが私の理解です。この視点から、何年かぶりに総務省HPで政治資金報告書を拝見しましたが、政党別の活動を把握し判断するには、ほど遠い形式だと感じ・・また、このままだと国会に置かれる第3者機関が報告書全般をチェックすれば、「新組織で監査→個々の不適切処理が大量確認→不祥事として報道→全体の政治不信」を繰り返し、直ぐに民主主義の「大寒」になりそうだとも思いました。
課題と思うのは、報告書の内容及び作成方法(参考)のほか、新たな報告書作成を効率的に行うために必要な「本部・支部を通じた基幹システム」の整備の問題です。今後、検討されるのでしょうが、ぜひ、一般にも活用しやすい良い形になって欲しいものです。一般の人も、演説会等の日頃の地道な活動や現物寄付(役務提供)の総数・概要が、この「基幹システム」を通じて大掴みでも比較可能な形で把握できるようになれば、一時の断片的な情報(=選挙前に示される公約、選挙中の演説・握手、TVの国会中継・討論番組・・最近ではネット情報等)だけでなく、大事な政党判断の一助になるでしょう。
家族が言った「日頃接するわずかな政治・政党活動と、報道される政治資金の大きさとのギャップが大きすぎて、何が本当の問題かわからない」というモヤモヤ感も薄れ、~「報告書提出の期限も守れない論外の政党」「地方での活動が無く国会活動のみの要注意政党」「金ばかり集めて地道な活動が少ない要注意政治家」「特定グループだけから役務提供を受ける要注意政治家」などと、活動面を重視した判断に変わっていくでしょう。
「胡散臭い」から止めるではなく、「胡散臭さ」を消していく基盤整備を進めると考える方が、民主主義の発展につながると考えます。まずは政党活動の評価をするための全体把握のトライアル。それから個々の「入と出」の抑制・助長や、さらなる透明性確保の措置を考えることで、政治の信頼性向上と活動活性化を期待したいものです。
これが本当の「一箭双雕」~政治不信の節目が変わり、「一陽来復」となって欲しいものです。
最後に、問題の公開方法工夫支出~外交上の理由等から支出内容を秘匿する必要があることは否定しませんが、安易な利用の疑いもあるので、「使途秘匿金の法人税加算」のように、「政治資金の使途を秘匿する場合は、当該金額の〇倍を国庫納付」等のルールを設ければよいと考えていました。
経済的な負担を受けてでも必要と判断するなら、とりあえずは使途秘匿の理由が適正と推定するということです。「裏金」作って支出されるより透明化は進むでしょう。仮に100を使途秘匿する場合、(仮に2倍とすれば)200の国庫納付、計300の費用が掛かるので政治家が私腹を肥やしていないことも明らか。確実に数も額も抑制される~こんな解決もあったと思います。