2024年12月10日
狂瀾怒濤~荒れ狂い逆巻く大波から転じて、ひどく乱れて手の施しようのない様子を意味する四字熟語。主として世の中や時代の情勢を言い表すときに用いられます。
さて、隣国で「戒厳」が出されたと知ったのは、3日夜TVのテロップでした。韓国の仕組みについては、全く知りませんでしたが・・常識的に考えて、戒厳令が出る前提としては、市街地で反乱・暴動等が起き、多くの市民の安全確保が必要な状態にあることが普通ですので、「隣国で軍の反乱でもあったのか」と思いました。その前に、市民暴動などの報道はありませんでしたので、「軍の反乱」と考えたということです。
翌朝、「戒厳」は解除されたとの報道を知り、さらに大統領が「国会で繰り返される弾劾と立法妨害、予算妨害によって国家の機能を麻痺させる無道な行為」を抑止するために宣布したと知り、思わず笑ってしまいました。「政治的な理由で戒厳を使うこと自体が考えられない」「不適切でも戒厳を発動したなら最後までやり抜かないのかも理解できない」、また「数時間で撤回するようなものなら、大統領周囲の側近がなぜ事前に止めないのか」と考えて、幼稚な政治ショーでしかないと結論付けての「笑い」です。
狂瀾怒濤で始まり、あっという間に尻すぼみ・・あとは大統領退任だけだなと、関心はなくなりました。
しかし、その後の展開は、隣国ながら心配になるものでした。
報道では、「政治的な理由で戒厳を使うこと自体が考えられない」というのは、与野党共通の認識の感じでしたので、弾劾手続きが与野党協力して粛々と進むと思っていたのですが、急に風向きが変わります。
ここからは、私の想像に過ぎませんが・・野党が出した弾劾案の理由が、今回の件だけを書けば十分なのに、それ以外の党利党略の観点からの記載~与野党のそれぞれの姿勢・政策の根幹にかかわるもの(例えば、報道された日本との外交関係など)が多数含まれていて、与党がその理由で賛成するわけにはいかなくなり、風向きが変わったのでしょう。
その後は、どう見ても「大統領は政治的には居ないも同然=司法任せ」という共通理解の下で、次の選挙までの間の有利・不利の判断だけで話が進んでいると感じます。弾劾は、抑揚頓挫・・あとは無意味な与野党の政治的駆け引きが続くだけでしょう。
個人的には、今の日本人を敵視していると感じさせる言を繰り返すような政治家には実権を握って欲しいとは思いませんが、戒厳制度の本来意図に反する政治利用をした大統領の退陣を促さない政治家も心配です。採決を欠席せず、自分たちで納得できる理由を付して、別に弾劾決議を出すことも可能だったとは思いますが・・ここからは隣国の国民・市民の皆さんの判断でしょう。
非常戒厳の「狂瀾怒濤」は、やり過ぎの弾劾理由で「抑揚頓挫」。あとに残ったのは「意気阻喪」・・
こうした党利党略による混乱・悪弊=民主主義の大雪が、与党過半数割れの日本でも起きないよう祈るだけです。