行動観察42:無病呻吟か用意周到か

2024年3月10日

無病呻吟~病気になっているわけではないのに苦しそうにすることから転じて、取り立てるほどのことでもないのに、大げさに騒ぎ立てることを意味する四字熟語。
その昔、検察の捜査対象になると入院していた大物政治家を思い出したりします。

 

さて、先週の啓蟄の直前、東京では「3月では4年ぶり」の降雪がありました。前日夕刻の予報で、「降雪数センチの大雪に注意」という気象予報士の言葉に接して、思わず聞き直しました。「数十センチ降る」と聞き間違えたのかと思いましたが、やはり「数センチの大雪」ということに間違いありませんでした。
聞いていると、冬装備もしないで安易な気持ちで出かける車両や個人への警告のための「前振り」のようでしたが、さすがに「大雪」は言い過ぎと苦笑い・・

 

その1週間前、福井から東京への移動途中の長野・山梨県境で、雪のための高速道路閉鎖の表示に接したことを思い出しました。高速を降りて開いているインターまで一般国道で迂回しましたが、一般国道のちょっとした上り坂で動けなくなり、後続に長蛇の渋滞を生じさせている大型トラックや普通車の横を何度も通り過ぎました。確かに、渋滞の先頭は、概ね東京周辺のナンバーだったことを思い出しましたが、そのエリアでは、結構降っていたと思うものの、雪用タイヤなら問題なく走れる程度で、大雪とは程遠いものでした。単なる装備不足で他者に迷惑をかけているだけの話でしかなく、大雪を言い訳にするようなものではないでしょう。

 

視点を変えて見てみると、「大雪」という言葉で一番助かっているのは、雪に対して無防備な東京圏の鉄道会社や高速道路管理会社なのかもしれません。数年前に雪の多い北陸の高速道路や幹線国道で、数日間雪に閉じ込められるという報道が相次ぎましたが、その後、鉄道や高速が、この程度で動かないのと思うくらいに、早々に運行停止や道路閉鎖を発表するようになったと感じます。
会社として雪に対する装備を用意周到に整えれば、今の停止・閉鎖レベルは十分にクリアできると思うのですが、どうなのでしょうか・・。用意周到でないことを無病呻吟の「大雪」で隠してないか点検が必要かもしれません。

 

また、今回、天気の概念として、10年に一度程度しか起きないような著しい降雪量を「大雪」と呼ぶと初めて知りましたが、そもそも雪が降るのが珍しい東京では、雪が降れば即大雪となり、定義自体に違和感が・・少なくとも「最低5cm以上の積雪」といった絶対基準も加えないと、人の意識とズレた「大雪」の言葉が飛び交い続けそうです。

 

最後に、高速閉鎖の顛末です。
一般道から、開いている高速インターにつながる数kmの県道に入りましたが、ここが最も渋滞~待ち時間で一般道を通っても東京に着きそうでしたが、得難い経験とUターンせずに最後まで行ってみることに。

やはり、渋滞の原因となるような「動けない大型車」が何台かありましたが、前で止まっている松本ナンバーのトラック運転手が、見兼ねたように、車を降りて交通整理を始めました。
私には、「動けない大型をバックさせるので、追い抜いて前へ出てくれ」という指示・・「了解です。ご苦労様です。」と、雪国の常識として感謝の言葉とともに指示に従いました。
久しぶりに接した気持ち良い「雪国の指示」でした。