旅の楽しみ80:「海北道中」大陸への古代の航路上にある筑前大島へ(離島訪問)

2018年1月19日

週明けの長崎での用務の前に、福岡県で最大の島 筑前大島へ向かいます。

 

筑前大島には、2017年に世界遺産に登録された「神宿る島 宗像・沖ノ島と関連遺産群」のうち、宗像大社中津宮と沖津宮遙拝所の2つがあります。
この世界遺産の中心は「海の正倉院」と言われる沖ノ島ですが、世界遺産登録に際し、研究者らを除く一般人の上陸は全面禁止することになり、沖ノ島を見るには、筑前大島の沖津宮遙拝所から遠くの島影を見るしかありません。今回の目的は、この遥拝所から沖ノ島を見ることです。

 

福岡空港から1時間強~宗像大社辺津宮を左に見ながら神湊に到着です。
この辺りは、30年前の福井での結婚式の後、自家用車で福井を出発し、2人で日本海側を佐世保まで行ったときに立ち寄った場所です。私自身の記憶は曖昧なのですが、奥方からは、「宗像大社に行く前は、あなたはウキウキしていて、おかしかったわ」と繰り返し言われます。当時、神話や古代史に興味があり、大陸と日本との交流の歴史に深くかかわる宗像3女神を祀る宗像大社や、沖ノ島の出土品を見るのは楽しみだったとは思いますが・・それが顔に出ているようでは、まだ「小僧同然」だったのでしょう。

 

平日なので静かに船旅ができるかと思っていましたが、同世代と思われる女性陣が数十人・・大島に向かう船は女性の声で賑やかです。話しぶりから、東京等からの世界遺産ツアーの一行と思われましたが、20分程度で島に到着・・寝不足の頭が、頭痛に襲われる前に無事下船できました。
港で、事前の情報にしたがい、大島観光バス「グランシマール」に乗ろうと、バス停の前に立つと、「12月から2月は土日のみの運行」との張り紙が・・自分の確認不足に苦笑いです。止まっている1台のタクシーは予約済みらしく乗車できず、レンタサイクルはあるものの目の前の丘陵風景を見て腰が引け・・どうしようかと思案しながら、少し歩くと、幸いなことにレンタカーの幟が見えました。

 

レンタカー屋の笑顔のおば様の勧めにしたがい、市の公共施設大島交流館で島の紹介の映像をじっくり見てから島一周~その前に館の方にインタビューです。世界遺産に登録されてから島に来る人が増えたこと、多くは午前の船便で着て3時間程度の滞在であること、宿泊施設はあるが都会の人には物足りない・団体受け入れのキャパがないといった理由で宿泊は少ない・・地元のおば様ですが、応対も歯切れよく、島の振興に貢献したいという思いが伝わってきます。私が生まれた頃には2千人近く住民がいた島も、今では7百人程度に減少して高齢化率も4割・・こうした状況への危機感もあるのでしょう。

島地図を見ながら、夢の小夜島、沖津宮遙拝所(写真)、砲台跡、御嶽山展望台、大島灯台、宗像大社中津宮といったところを回りましたが、主要な観光ポイントでは、宿名の入った2台のマイクロバスに乗って団体で移動する一行~船で一緒だった人達に会い、これまで行った離島とは雰囲気が違っていました。旧大島村が宗像市と合併して10年以上を経過し、行政機関などによる経済活動も小さくなっているでしょうが、こうした訪問者が順調に増えていけば、島の振興に繋がるのでしょう。

 

沖津宮遙拝所からは美しい海は見えましたが、残念ながら沖ノ島は雲の向こうでした。
次回来ることがあれば、島に一泊して、世界遺産登録による島の変化を聞いてみたいものです。