2017年8月20日
勤言実直~きわめて慎み深く正直なこと。真面目な人の形容として使われる四字熟語。
多くの日本人が良いイメージを持つ言葉ですが、ときには面白味のない人物と揶揄する意味でも使われます。
さて、この数年、役所時代の数年先輩が局長や審議官といった立派な肩書になっています。
私が若い頃に一緒に働いていた人達ですので、彼らの若い頃を知る者としては、人物と肩書の「座り」が悪いように感じますが、多くは、その職責にあることに違和感は覚えません。彼の働き、真面目さなら「順当だな」と思うことが、ほとんどです。
国の公務員の多くが、勤言実直を地で行くような人達なのも、そう思わせる背景となっているのでしょう。
しかし、たまには、「?」と思うこともあるものです。
その昔は、厚生省の業務の重要さが高まったものの、それに応じた人材数がいなかったため(中途採用をしないのが原則)、「あの人が局長なの」と思うことが結構ありましたが、噂話では、「○○議員の強い押しがあってなったらしい」ということも・・。その人の議員対応は、確かに阿諛追従の感がありありとしましたが、元々そうだったのか、役職が上がってそうなったのかは、全くわかりません。ちなみに、その人は、途中で退職となりましたが、多くの人は、その退職を「順当」と思ったようです。
一方、最近では、「なぜ、あの人が辞めるの・・」と思うことが多くなりました。
人材数が増えたことも背景にあるのでしょうが、「偶々、対応が難しい仕事に就いていた」「偶々、対応の難しい議員との関係が強い仕事に就いていた」といった、「偶々」が重要な要素になっているのかもしれません。また、激務に耐えかね燃え尽きた、仕事が嫌になったといった見えない事情もあるのでしょうが、40歳前後で仕事ができると言われ、早く局長等になった人から辞めていくように見えるのも、私が席をおいた役所の不思議です。退職する年齢が50歳くらいから、60歳間近になった影響もあるのでしょう・・。
人事好きの人には、事務次官が誰になるかは格好の題材ですが、多くの人がなって欲しいと思う人物がなる場合と、ならない場合に別れるのも不思議なものです。次官候補になるような人は、誰しも勤言実直で実績を残す人物なのですが、政治家にストレートな物言いをするタイプは、最近では、次官には縁遠くなっているのかもしれません。少なくとも、辞めた後に、あれこれ公言するような人は、次官に向いていないことは間違いありません。
ただ、以前に比べると局長、審議官の人間的な魅力が表に出て来なくなったのは残念なことです。「言葉狩り」に晒されるリスクを踏まえての優等生対応なのでしょうが、このままでは、勤言実直だけのつまらない集団になりかねません。
できれば人間的魅力に溢れた政策集団であって欲しいものです・・生身の人間相手の役所なのですから。