行動観察11:孟母三遷か慈母敗子か

2017年5月20日

孟母三遷~中国の思想家孟子の母が、孟子の教育のために三度も住居を遷ったとの故事に由来する四字熟語。

初め墓地の近くに居を定めたが、孟子が葬式のまねごとばかりすると転居~市場の近くに居を定めると商売人のまねをして遊ぶと転居~学校の近くに居を定めると、喜々として礼儀作法のまねをするようになったので、孟母はこここそがわが子のいるべき所だと、ここに長く住むことになったという故事です。

 

史実ではないとされますが、子供の育成に対する環境の大事さを示すものとしてよく使われています。

しかし、この故事は、母親が子供を僧侶や商売人にはしたくない~学問をさせたいという強い意思の下、親の希望を強制することなく子供に関心を上手に持たせたということと読み取ることもできます。現代で言えば、幼児英語教育、幼児スイミングといったところでしょうか。

幼い頃にいろいろと機会を与えることは悪くはないと思うのですが、いつまでそうした姿勢で接するかは問題です。どこかの段階で、親離れ子離れをする必要があるのでしょうが、その機会を失ったと思われる私と同世代の人が結構いる~特に母親と息子の関係が難しいように見えます。

 

仕事柄看護師の知人も多いのですが、経済力があるせいか離婚する人も多くいます。その結果かどうかはわかりませんが、息子を愛するあまり「抱え込む」ような行動を無意識のうちに繰り返し・・気が付くと息子は1人立ちができず、母親の庇護の下でしか生きていけなくなっているという例も聞きます。いわゆる慈母敗子の典型例です。

また。中学生の息子が発達障害と心配して、発達障害に対してよい教育環境を提供できる都会の学校の近くに親子で引っ越そうという人も身近にいますが、話を聞くと・・母親が過干渉に見えるという点が気になります。「毎日ほっておくのも虐待だが、毎日あれこれ過剰に干渉するのも一種の虐待だ」と話はしますが・・「可愛いから」と言うばかり。慈母敗子にならないか~将来親の庇護の下でないと暮らせない息子にならないかと少々心配です。

 

他人のことは冷静に見えるのは世の常ですが、さて自分と子供の関係はと言えば、手探り状態継続中というのが本当のところです。ただ、「高校を出たら家を出る」というルールを長女から始めて、物理的に子離れができたのは良かったと思います。自分の経験から、子供が大人になっていくには、親が知らないほうがよいことも多い~親がいないほうが自由に行動できると実感していたからです。当初は奥方の心配もありましたし、それなりの出費はありましたが、働き出した2人の娘の成長過程(それぞれに私との諍いありますが・・)をみるに、子供から大人になる段階で1人暮らしの環境を作ってやれたことは正解だったと思っています。

 

問題は、高校生の長男の1人立ち・・本人は大学進学を希望のようですので、関東圏以外の大学に行けと条件を付けていますが、どうなるでしょう。
まずは今夏の短期留学(ホームステイ)からです。