2016年11月12日
今月の離島は、山口県萩港から45kmに位置する見島です。
昨年1月から始めた離島訪問。日本海側では、北から利尻・礼文島、天売・焼尻島、奥尻島、飛島、佐渡島、粟島、舳倉島、隠岐諸島、壱岐・対馬島と主な島には足を踏み入れてきましたが、今回の見島で日本海側は10回目です。
前日に山口宇部空港に降り立ち、防府の国分寺・毛利氏庭園、岩国の紅葉谷公園・木谷峡などの紅葉の名所に足を延ばしてから、萩に入り見島行きの準備です。見島行きの船は1日2往復~島での一泊も考えましたが、今回は周防国、長門国の国府跡周辺を見ることも目的のため島は日帰り。8月の飛島のように、短時間滞在とならないか・・天気予報を気にして1日を終えました。
本日の朝は眩しいくらいのよい天気。これなら船旅も快適・・と港に向かいます。
釣り客らしい服装の一団とともに、1時間強の高速船の旅でしたが、天気とは違って結構な揺れが続きました。本村港に着いて船を下りると、足元がふらつくような気がします。月初めに発熱で生じた目まいが再発したのか、船酔いなのかは不明ですが、一歩踏み出すのも注意をしないといけない感じです。それでも体慣らしと集落を歩き始めると、軒先で座っている高齢の女性から声をかけられました。
「良いお日和で」 それで汗ばむくらいの日和と気づきました。
さらに「どちらからですか」「観光ですか」と問われて会話が続きましたが、それで気持ちが上向きになったようです。
島の観光マップに沿って集落内を歩いていると、「良いお日和で」「こんにちは」「どちらから」と多くの人から声をかけられます。防犯意識もあるのかもしれませんが、日本海側の島で、ここまで声をかけられたことはないので、自然と気持ちもよくなってきます。島の診療所(内科・小児科・歯科)の様子も見て、2つの天然記念物を経由して、もう一つの集落である宇津を目標に歩き出した頃には、ふらつきも感じなくなっていました。
最初の天然記念物「カメの生息地」は、カメ自体が珍しいのではなく、本土と45㎞も離れている離島に本土と同じような生き物がみられることが珍しいとのこと。かつて見島は本州の一部で、その後の日本海陥没によって島になったため、イシガメ、クサガメが生息する池が国指定天然記念物に指定されたとの由来を見た頃は、まだ足取りも元気でしたが、長く続く坂を歩いて、見晴らしの良い見島ダム(写真)で休憩した頃には、体力消耗で青息吐息に。
さらに峠を越えたところで通行止めの表示に出会い、大きく迂回しないと宇津に辿り着かないことを知った段階でギブアップ。宇津行を諦め、もう一つの天然記念物の見島ウシを見て、スタート地点に戻ることに変更です。
木陰が続く0.8車線ほどの狭めの道をゆっくり歩き、和牛の原型と言われる見島ウシと対面。室町時代に朝鮮半島から渡来した当時の姿をそのままに伝えているとのことですが、素人には、他の黒毛和牛と区別はつきません。ただ、ウシのほうは、人の区別がつくのか、こちらの存在を知ると大きな声で鳴き出しました。
「良い日和で」という挨拶なのか、「不審者注意」という警戒なのかは不明ですが、ウシからも他では感じない特別の応対を受けたことは間違いありません。
山口の北端ながら対馬海流のため平均気温が最も高い見島・・島半周で汗びっしょりとなりました。
しかし、帰りの船旅は、朝と違って心地よい睡眠でした。