旅の楽しみ66:寒冷前線とともに飛島へ(離島訪問)

2016年8月26日

今月の離島は、山形県酒田港から40kmに位置する飛島です。

 

夏は涼しい地域へと、先月の北海道に続いて東北ですが、島の面積が1k㎡以上のものは、東北には宮城と山形にしかありません。今回は、今年まだ足を踏み入れていない山形県の飛島を選択です。

25日の午前中には山形県置賜地方に入りましたが、まず暑さに参りました。「あついぞ! 熊谷」など、暑さも地域おこしのキーワードになる時代ですが、山形の暑さに、思わず「あついぞ! 山形」という言葉も出ます。

日本三大文殊の一つ亀岡文殊の門前で、「冷たい心太」を食べて気分一新して酒田に向かいましたが、月山や湯殿山の近くになると、気温は下がったものの、雲行きが怪しくなってきます。「寒冷前線の通過で、26日東北地方は大荒れ」との天気予報に、定期船が出るかどうかも心配に・・。

 

夜は、船の心配はひとまず置いて、酒田市内の古風な居酒屋で食事となりましたが、そこで飛島のパンフレットを見つけ、主夫婦からいろいろと聞くことに。
「島に行く人は、今では地元の海水浴客等より、他県からのトレッキングや釣り目的の人が多い。主夫婦も未だ行ったことはないが、島に行った人から主夫婦が聞くに、2日もいると時間が止まったように感じ、心も軽くなるという感想も聞いたことが。」
「島に住む人は減少が進み、現在200人強で、3人に2人は高齢者。小中学校もあるが、島に仕事で来ている公務員(警察官・教師等)の子供以外には、生徒もほとんどいない。島の人は子供が中学生になると、酒田市内に別に家を持ったり、借りたりすることがほとんどで、そうした人たちは、飛島の家を処分したいと考えるが、誰も購入等する人はいない。」
「数年前に、常駐していた医師いなくなり、今では酒田の病院が定期的な巡回診療や遠隔診療をしている。それでも医療の不安等から、自宅を離れて、酒田の施設に入所する高齢者も多い。」
聞く限りでは、5月に行った舳倉島に似た感じかとも思いましたが、なにせ明日は荒天とのこと・・1日1便(平日)の定期船が出るかが心配との主夫婦の言葉を最後に、ホテルに戻りました。

 

本日朝起きると、雨でしたが小降り。これなら船は出ると判断し港に向かいます。
切符販売の始まる前に、港にある海鮮市場という店舗の2階で朝食をとりましたが、次第に雨が強まり、先行不安が募ってきます。切符を購入に行くと、窓口に「帰りの便は、荷物の積み下ろし・積み込み終了後に出発します」との掲示が・・恐る恐る窓口の女性に、「これは帰りの便は、予定より遅れるという意味ですか」聞くと、「いいえ。行きの便がついて、荷物の処理が終わったら、すぐに戻ってくる~戻りの便の出発時間が繰り上がるという意味です。」とのこと。「どの程度、船は止まっているのですか。」と、さらに問うと、「作業によりますが、40分くらいですかね。申し訳ありません。」とのこと。
他の何人かの方は、乗船をあきらめたようですが、私は、せっかくここまで来たからと、短時間滞在を覚悟で往復切符を購入しました。

待合で時間調整をしていると、男性2名の会話が聞こえてきました。「○○先生。本日は島に泊まりになると思いますが、よろしくお願いします。」と、昨日夜に聞いた、飛島に巡回診療に行く若手医師と、彼を港まで送ってきた行政職員のようです。昨日は、私以上の年齢の医師かと勝手に想像していましたが、若手医師の登場に何となく嬉しくなります。

 

島まで約1時間。徐々に雨脚が強まり、島に着く頃には、雨で景色も見えないくらいになりました。船を下りると、さらに雨は土砂降りなり、道も冠水してくるなど、外を歩くのもままなりません。それでも、雨に備えた「短パン・裸足にスリッパ」という服装を活かして、港周辺の集落を見て回ります。
予想に反して、取り壊された廃屋が多数ある(舳倉島のように)わけでもなく、一方では、島を回る無料の自転車置き場があったり、島の人用の診療所行の巡回車両の待合があったりと、他では見ない面白いものもありました。港の待合では、島に宿泊したトレッキング姿の一団もいて、2時間くらい島を回ったら面白いのだろうと思われましたが、そうした時間はなく・・定期船の甲板から軽自動車を下すクレーンの作業が終わって直ぐに、戻りの便の乗船が始まりました。

残念な飛島往復となりましたが、それでも行ってみて、初めて知ることもあるということを再認識した1日でした。

 

なお、若手医師は、土砂降りのなか診療所に向かっていきました。若手医師 頑張れ!
明日天候が回復し、無事、島を出られることをお祈りします。