2016年7月16日
今月は、北海道羽幌町から25kmに位置する天売島・焼尻島です。
暑くなってくると涼しい地域に行きたくなるものです。
昨年も、7月は北海道の礼文島・利尻島・・・あまり天候には恵まれませんでしたが、それでも暑さからは解放され、旬のウニも食して、よい時間を過ごしました。今年も、涼しさとウニを求めて、北の離島を目指します。
初日は、小松発の昼の航空便で新千歳空港へ、そこから日本海側を北上し、約4時間で羽幌の手前の苫前町に到着です。天売島・焼尻島に行くには、羽幌港から船に乗るのですが、落ち着いた時間を過ごすのであれば、羽幌や苫前で前泊し、さらに島で一泊がお勧めという情報を得ての行動です。
二日目は、8時の高速船で羽幌港を出発~約30分で焼尻島に到着。そのまま天売島行の次の便までの3時間を活かした島一周に出発・・いつもは自動車の選択ですが、昨年とは違った晴天、気温20度代前半の涼風に誘われ、また周囲12km程度の起伏の少ない島という情報を信じて、移動手段として自転車を選択。数年前に、広島の帝釈峡で乗った以来のチャレンジです。
港から「いきなり」の坂道を上りきると、昨年は、隣の礼文島からも見えなかった利尻富士が見事に見えます。しばらく休んで息切れをおさめて先に進むと、今度は下り坂。より一層涼しさを感じます。
しかし、その先は、100mくらいを一気に登る坂道が待っていました。選択の失敗でしたが、それでも自転車を押して坂を上りきると、今度は、隣の天売島が近くに見えます。あとは、周囲の景色を見ながら、長い下り坂を涼しく走る・・きっと絶景とはこのことを言うのでしょう。
続いて、昼の高速船で天売島に移動です。朝の便と違って結構なお客さんが乗っています。私と違って、羽幌・苫前に泊まらずに、午前中に移動し、昼前に港に着いて島を目指した人たちなのでしょう。
約15分で天売島に到着。早速、宿の運営する漁船で島一周の予定でしたが、何とエンジン不調で船が動かないとのこと。宿の勧めで、観光バスでの島一周に急遽変更です。
バス内で案内を聞いていると、天売島は海鳥の有数の繁殖地とのこと。私は、島に来て初めて知りましたが、地元北海道でも知っている人は半分程度とのこと。しかし、「最近中京地区で天売島の海鳥の繁殖の番組が流れたそうです」との説明があると、乗客の1グループが、「それを見て来ました。」と挙手。なかなかマスコミの影響力は強いようです。バスの解説によれば、以前はオロロン鳥(海がらす)が繁殖の中心でしたが、現在ではウトウに移行。ウトウは約100万羽と世界一の繁殖地になり、現在でも数が増え続けているとのことですが、かつての主役オロロン鳥は、人間の持ち込んだ猫等の影響で減少し、現在では100羽もおらず、環境省が繁殖の取り組みをしているものの、うまくいっていないとのこと。
一度減ったものを、人為的に増やすのが難しいのは、人口減少地域での人口回復と共通するものがあります。天売島でわずかに増えるオロロン鳥は、島で生まれたものばかりで、島に無関係なものがIターン、Jターンで島に来ることは、ほぼないとのことです。
天売島では、焼尻島と同じく、医師常駐の診療所をはじめ、小中学校、交番、郵便局と一通りの公共施設は見つけましたが、その他に、高校があるのには驚きました。人口300人余りの島に高校・・学生は地元3名、札幌・東京各1名の5名ですが、こうした外来者が卒業後も定着するのか、ウトウのように自分の本来の地域に戻るのか・・面白いところですが、少なくとも、「高校の存在で、隣の焼尻島(人口200人余)より人口減少等が遅い」と説明者が信じていることだけは間違いないようです。
夜は、札幌から祖母の住む家に来た若者や結婚して島に来た女性がバイトする宿で、地元のウニなどの海産物を食べてから、再度、ウトウを見にバスに乗ります。昼には、海鳥の飛ぶ姿をあまり見られませんでしたが、夜は、ウトウが大集団で飛び、大きな羽音をたてて巣穴(写真)に戻る様子を目の当たりにして驚きました。
6月までの子育ての時期は、もっと大量に飛ぶとのことですので、興味のある方は、ぜひ行ってみてください。きっと人口減少にも、少しは影響があるでしょう。ただし、その時期は、ウニは食べられませんので、お気をつけください。
三日目は、殻付きウニを送る手配も終えて、午前中には島を離れ、道央で一泊です。
明日夜には東京ですが、正直、夏の東京には戻りたくありません。いずれ、夏は北海道に(季節)移住したいものです。