Episode131「最初の配属は児童家庭局 最初の日から辞めたい・・」

2015年8月18日

1か月の研修終盤に、5月からの配属先の内示を受けました。

なんと「配属となったら辞めてやる」と公言した児童家庭局でした。

 

聞いた時には、何かの間違いかと思いましたが、それを確認する気持ちも起きないくらいに落胆していました。確か、その夜に、配属先を「肴」に、同期で飲み会となったと思いますが、私は不機嫌で荒れていたのでしょう。私の以前の公言を覚えていた同期の1人が、心配して声をかけてくれましたが、その時は「本当に辞めるか」と考えていました。しかし、彼から「課長はそうでも、他は違うかもしれない。」「子供の行政は、これから大事になる。」といった言葉をもらい、家に帰って、再度考えることに・・。

しかし、どう考えても、あの課長とは一緒にやれないだろうと思い、結婚前の配偶者に、「配属先に行きたくないので辞める」と電話を・・彼女からは、優しい言葉ではなく、「やってもみないで、ダメというのは負け犬」といった趣旨のことを言われたと記憶していますが、その言葉で、少しは児童家庭局で働いてみて、それで再度考えてみるか・・と問題の先送りをすることになりました。

 

辞令交付の当日、児童家庭局企画課に赴きましたが、その暗い雰囲気に、嫌な気分も強まることになりました。
エレベーターホールで行先を探し、なんとか企画課を探し当て、部屋に入りましたが、誰も声をかけるでもなく、挨拶をするわけでもなく・・それで部屋を見渡すと、職員同士で打ち合わせするような雰囲気もなく、誰もが席に座って、ぼーっとしている感じです。とても活気ある職場、真剣みのある職場という雰囲気ではありません。ここで働くのかと思うと、嫌な気分が募ってきました。
気分をとりなおし、課長から辞令をもらい、少し話を聞きましたが、研修時と同じような内容と雰囲気に、一層、気分も落ち込み、「辞めるか」という気持ちが強くなってきました。
さらに企画法令係の末席に座り、1年先輩から、仕事の話を聞きましたが、特に、急いでやるようなこともありそうではなく、「別に居なくてもいいよね」・・と辞めたい気持ちを後押ししました。

 

当時の児童家庭局は、国の仕事を地方に移すという行政改革の法律を成立させたばかりであり、ちょうど中弛みの時期だったのですが、そんなことは新入生にわかるはずもありません。また、1年生の仕事は、主として、いわゆる「廊下トンビ」~大臣官房から各局に発注される調査物等をコピーして、局内の他課に配布して作業を依頼し、それを取りまとめて大臣官房に報告するというものですので、本来、急いでやるような仕事はありません。
ある意味、当たり前のことなのですが、最初から、配属先をネガティブに見ているため、そうした事情を知ろうともせず、「辞める」という意識ばかりが高まっていたのです。今から思えば笑い話です。

 

その後、重い気分のまま、先輩に連れられて、局内の主要な人に「あいさつ回り」をしましたが、その時に、8年ほど先輩の若手の補佐に声をかけられました。
「君は、麻雀はできるのかね」と問われ、思わず「先輩からお金をとって良いのですか」と回答することに。学生時代に、麻雀に入れ込んで、1人で雀荘に行くようなこともあり、それなりに腕に覚えがあったからですが、この回答が先輩の闘争心に火をつけたようです。数日内に、麻雀に誘われ、先輩3人と卓を囲むことに・・不調でしたが、しぶとい麻雀で、勝つこともなく、負けることもないという結果に終わりました。

 

しかし、この結果が、逆に私の闘争心に火をつけ、このままでは辞められない・・先輩に参ったと言わせたいという気持ちで、仕事・・いや先輩との麻雀のために出勤を続けることになったのは、不謹慎ではありますが、今では懐かしい話です。
あそこで辞めていたら、配偶者の言ったように、何事にも背を向け、言い訳を言うような負け犬の一生だったかもしれません。