Episode127 「市民との距離感は難しい 欧州派遣での失態」

2015年7月8日

大津市は、いくつかの友好都市がありました。

米国、ドイツ、スイス、中国、韓国と5か国に所在していましたが、そのうちドイツのヴュルツブルク市に市民文化交流団を派遣するという話が伝わってきました。ヴュルツブルク市で開催される「花の博覧会」において、その会場内にある日本庭園で、日本の伝統文化を、10日間ほど披露して欲しいとの要請があったことが背景のようでした。

 

私が聞いた頃には、茶道、花道、和琴、剣舞などの演目は確定し、市内の関係団体からの推薦等で出席者(旅費等は一部本人負担あり)も決まり、日程も概ね決まっていました。全体を二つに割って前団と後団の構成とし、5日ほど日をずらして日本を出発、全体の団長である助役(当時)は前団に同行して各種公的行事を行い、それには地元NHKの記者が同行して映像撮影(記録保存)し、必要に応じてTV報道するという内容でした。

 

私は、後団の随行として行動、前団との連絡役などをするという、気楽な立場でしたが、後団の一部のメンバーから、後団の扱いは不公平との意見が出されて状況が変わりました。

問題は、NHKの映像撮影の点でした。後団は、いくら頑張っても、映像記録もされず報道もされないのは不公平ということでした。しかし、後団にもう一人NHKが同行というわけにもいきませんので、急遽、私が後団の映像記録担当となり、名目も副団長的な立場となることで、後団の一部の方の不満に対応することとなりました。気楽な立場のはずが、一転、面倒な立場になってしまいました。

 

出発の日、市役所前に集合ですが、そこから個人のホームビデオカメラで映像撮影開始です。その後も、節目節目で、皆さんのご機嫌伺いと活動の映像撮影が続き・・ドイツ・ロマンティック街道の起点であるヴュルツブルグの美しい街並みなど(写真)をゆっくり見物する時間もありませんでした。前半を過ぎる頃には、後団一行の中にリーダー格の人(県警の剣道部)も出てきたので、副団長業務は、その方にお任せし、私は撮影専属となり一息をつきました。しかし、ヴュルツブルグでの活動を終えて、後半の観光に入ると、皆さんの自由時間も増えたせいか、いろいろな声が出てきました。各グループ間で生じる些細なことに関する不満が誇張されて私に届く、他のグループばかり撮影して私たちは撮られていないのではという意見が私に届く、あるグループの人と私が食事等をしていると、それが特別扱いとの不満が別の随行者に届くなど、徐々に面倒なことになってきました。

 

そうした中、次の訪問地スイス・インターラーケン(これも大津の友好都市)では、市長と後団との面談が予定されていましたが、私は、その場に移動する馬車一行に乗り遅れました。ホームビデオカメラの電池が切れて、ホテルに部屋にとりに行った際に、一行が市庁舎に向けて出発してしまうという失態でした。大事な市長との面談の場面も、皆さんが馬車に乗るという楽しい場面も撮影できず・・・ただし、私が、現場にいないと気づいたのは、口の堅い2名だけという幸運もあり、旅行中に問題になることはありませんでした。

 

帰国後、私の撮影したビデオテープは、広報室からNHKの撮影者に提供されました。
画像の質の問題もあるか・・と思いましたが、そこはプロ。前団・後団を通じた一つの記録映像として、うまくまとめられていました。インターラーケンの映像は、前団の団長の模様を中心としたもので、後団の映像が無くても違和感のないものでした。

 

これで、後団の人に怒られることはない・・と安堵はしましたが、決して人には言えませんでした。