2015年2月9日
今回は瀬戸内海の西端 周防灘と伊予灘の境界に位置する姫島です。
姫島は面積7㎢に満たない小さな島ですが、一つの島で一つの村(大分県姫島村)です。
当地は、石器時代の黒曜石の有名な産地であり、古事記の国産み神話の舞台の一つであり、また幕末の馬関戦争で勝利した連合艦隊(英米仏蘭)の拠点となった地。さらに私の配偶者が愛読する内田康夫氏には「姫島殺人事件」という著書もあって、私も「姫島」という名前だけは聞いたことがありますが、以前、国東半島を一周したときには、姫島に渡ることなど考えもしませんでした。
今回、事前に調べてみると、アサギマダラという渡りをする蝶が羽を休める5月、10月頃が、訪問するのには良い時期なのでしょうが、九州に行く予定もできたので、「少しは暖かいだろう」と思い、姫島に立ち寄ることにしました。
しかし、大分空港に降りる前から、「大分空港は小雪が舞う」とのアナウンスです。レンタカーで伊美港に向かう道では、結構な量の雪が舞い始めます。港に着くと強い風で歩くのもやっとの感じ・・姫島村営のフェリーに乗ると上下に大きく揺れます。これまで船酔いの経験はありませんが、ちょっと気分が悪くなり「危ないかな」と思ったところで姫島に到着です。
わずか20分ほどの船旅・・1時間に1便ですから、福井のバスより便利かもしれません。
このフェリーには、島に渡る際には救急車が乗り込み、数時間後に島から戻る際にはパトカーが乗り込んできました。島民の生活の足というだけでなく、こうした緊急車両がフェリーで移動するというのも、わずか20分程度の距離にあるからでしょう。
しかし、救急車は、島では国保直営診療所で患者を乗せたのでしょうが、そこからどこに行ったのかは気になりました。伊美港の近くにある病院は療養病床のみ・・急性期対応ができそうな一般病院は大分空港周辺か、豊後高田市・宇佐市周辺。いずれも伊美港から30~40分程度の時間距離です。島から1時間程度と許容範囲とも思えますが、緊急時には厳しいかもしれません。しかし、これは離島というよりは国東半島全体の医療問題と考えるべきなのだと思います。
さて、「少しは暖かいだろう」との期待とは異なり、島の気温は約1度・・2日前に配偶者と行った札幌雪祭りの気温は約4度・・北海道より寒い気候に来たことを後悔です。
人口2千人程度の島にはタクシーもなく、島内観光の唯一の足~レンタサイクルも店が閉まっており、やむなく黒曜石が有名な観音崎に徒歩で向かいますが、強い海風に前進もままなりません。姫島特産の車エビの養殖場の近くを通り、港の向こうに島最高峰矢筈岳(写真)を、海の向こうに佐田岬半島が見えたところでUターン。
晴れ間の中に小雪が舞う集落の中を、姫島庄屋古庄家の前を通り、姫島小学校の角を曲がり、国保直営診療所の前を通って、大帯八幡社に参拝と・・島の西部を散策したところで、寒さに負けて、島一周をあきらめました。
フェリーの待合所に辿りつき、「姫島車えび しゃぶしゃぶフェアー(2月7日~3月31日)」のポスターを見て、少し気持ちが暖かくなり、2Fの展望台から逆光の中に映える国東の山々の神々しさを感じて、やっと後悔が失せました。
残りの島の風景は、3月にTBSで再放送される「姫島殺人事件」で見ることにします。
その上で、5月か10月の暖かい時に、再度、姫島に行くことを考えたいと思います。