旅の楽しみ27:新東京百景(多摩地区)を巡る~井の頭公園

2013年12月4日

第2回目の新東京百景巡りは、武蔵野市に所在する井の頭公園(一部は三鷹市)と成蹊学園のけやき並木です。

 

この武蔵野の一帯は、今でこそ高級住宅街ですが、江戸時代には、近隣に三鷹という地名にも残るように、徳川歴代将軍が鷹狩りを楽しんだ鷹場でした。

きっと、民家も少なく、林や池が一面に広がっていたのでしょう。

 

井の頭公園は、三宝寺池(石神井公園)・善福寺池と並んで、武蔵野三大湧水池として知られる井の頭池を中心とした公園ですが、近隣は通ったことは何度もありますが、実際に行くのは初めてです。

 

それぞれ午前の予定を終えて、千代田線、小田急線、井の頭線と乗り継いで、井の頭公園駅から散策の始まりです。当初は、次女も一緒に3人で、という話でしたが、残念ながら今回は見送りになり、配偶者と2人で住宅街を、少々迷い気味に歩きはじめました。

塀に囲まれた家が並んでいる景色の中で、車庫の電動式のシャッターが動くのを見つけて、家族は「立派なお宅ばかりね・・」との発言から始まり、「あなたの実家も、相当立派ですよ。あれが東京にあれば、貴方もお嬢様・・私などと結婚することもなかったでしょうね。」と、無意味な切り返しをしながら、井の頭公園の入口に到着です。 

 

まず、井の頭池が、あの神田川の源流という表示を見て驚きです。

考えてみれば、都心を流れる川でも、必ず源流はあるはずですが、それが井の頭公園と思うと不思議な気がします。福井のイメージでは、川は山からと思うのですが、関東では、先日行った忍野八海のように、湧水というのが多いのでしょうか。

また、井の頭池の周りには、数多くの桜の巨樹があり、1990年に「日本さくら名所100選」に指定されただけのことはあります。茶店の人に聞くと、花見の季節は、一歩も動けないくらいに人が多いとのこと。ただ、大量の人出が嫌いな我が家は、こうした季節外れの散策がお似合いのようです。

 

すると、家族は、何やら下を見て、一生懸命、探しものをしています。落ちている枯れ枝、赤い木の実、トゲトゲの木の実など、を拾い始めました。

例年、この季節になると、リースを作りはじめる家族は、あちこちで材料集めを始めます。古くは、ゴルフに行く私に「松ぼっくりを持って帰る」ことを指示したり、最近では、家のリビングに枯れ枝等を広げていたりします。私からみれば、「ゴミ同然のものを拾って何が楽しいのか?」という感じですが、本人が楽しいのであれば、わざわざ邪魔をする必要もありません。

 

それを待つ間、次女からの話を思い返していました。「10月から、うつ状態になって、あまり学校に行けていない。」、「クリニックに自分で行き、投薬1週間を過ぎて、安定はしてきた。」、「学校では技能をきちっと身に着けたいので、今回進級さえすればというのではなく、数か月後に治療が安定した段階で勉学を再開したい。」、と言ったことを思い出し、普通では忌避するようなメンタルクリニックへの受診を自分で選択した自立性の高さに驚きつつも、今回の判断が、どのように彼女の成長に影響を与えるかと考えていました。最終的には、次女の判断を尊重するだけのことなのですが。

 

ふと気がつくと、家族は、どう見ても価値のない枯れ枝を「裸」で持って歩いています。見ようによっては、「捨てられない女」「ごみ屋敷の主」にも見える風情であり、早速、茶店で、ビニール袋を調達することに。

袋だけが欲しいというわけにもいかず、「くず餅」を買って外で食べましたが、袋だけを買えばよかったか・・と思うような味で、残念でした。

 

そのまま、成蹊学園のけやき並木に向かいました。

成蹊学園の本館前と、広大な敷地に沿っている外周路沿いに100本余りのけやきの木が並んでいます。表示によれば、樹齢を100年を超える木ばかりであり、1996年には、「残したい日本の音風景100選」にも選ばれたとの由。このけやき並木(写真)に沿って歩くのは、確かに悪いものではありません。

福井は山並みに囲まれていますが、街自体には、木々は少ない感じなのとの対比では、東京では、歩く道筋に木々が並ぶところが多いのが良い点でしょう。家族は、落ち葉の上を歩いては、「このサクサクという音と感触が良いのよね」と、ご満悦ですが、私のほうは、「歩きにくいな・・」と感じるばかりです。

きっと、近所の人のクレームもあるだろうと思うと、木々に、「安全のため低木を切ります」との張り紙がありました。並木に沿って住む家からの意見の反映かどうかはわかりませんが、けやきの木も大変です。

間違いなく、後から来た人に、文句を言われる・・・幼木を切られる・・・ことになりますが、街の良さは、個人の不便になるという問題をどう解決できるかは、医療を含めて、どの分野でも同じなのかもしれません。

 

そのまま、武蔵野市役所周辺、東伏見稲荷周辺を回って、最後は、石神井川から東伏見駅に到着です。付近の公園の一部に、往時の武蔵野の風情はあったかもしれませんが、概ね、高級住宅街を巡る、約3時間となりました。

下町住まいの貧乏そうな服装の二人が、キョロキョロしながらゴミ(リーズの材料)を拾いながら歩く姿は、不審者に間違われたかもしれません。とりあえず、通報されて不審尋問を受けるようなこともなく、電車に乗ることができましたが。

次回は、次女と3人での外出となると良いのですが・・少しは、まともに見えるかもしれません。