Episode40 「自分が正しいと思えば 狭い道でもつなげられる」

2013年2月8日

12月の予算編成直前の時期に、障碍者に係る新制度に関して会議がありました。
出勤したら、「絨毯部屋の○○室で会議があるので直ぐに行ってくれ」と言われ、関係局の局長と官房会計課長等のお歴々の暗い顔が並んでいる中に一人で入っていったところ、聞かれたことは、「財務省は新法についてどう言っているのか」でした。
介護保険との統合は無理と判断し、自立的な制度改正で、今回の問題を解決するという方針で既に財務省と調整済みだったので、淡々と「了解済みです」と回答したところ、その部屋の主=毎日神棚に祈る方から、「そんなことはあり得ない。財務省が認めるはずがない。」と言われ、唖然・・・。

 

その数か月前から、財務省主計局の担当主査に足繁く通い、「補助金を国庫負担にする」という、この規模では前例のない最大の課題を、どう処理するかについて議論を継続していました。
厚生労働省は支援費制度で大失敗した訳ですから、今さら新制度の必要性などを説明しても意味はありません。団体幹部に説明したものと同じ「支援費制度の失敗」を理論的に説明するところから始め、補助金が大幅に不足するという問題処理に失敗すると、政治の世界がどう行動をとるか、政府全体に何が起きるか(厚生労働省の失敗だけでは済まない)、地方自治体がどう困り動くか・・・といった、今後の動きをリアルに共有することに時間を費やしました。
途中からは、担当主査と一緒に制度を考え、双方の上司・幹部にどう理解させるかという作戦会議の雰囲気になっていましたが・・・呻吟しながらの数か月であったことは間違いありません。

 

そうした調整結果について、財務省に直接聞きもせず、部下が言うことを疑う、「こんな奴の下で誰が働くか」と思ったことを鮮明に覚えています。
ムッとしていると、横の会計課長が私の腹をついて何か言えと・・サラリーマンとしては、やむを得ないので、「法案を出さなくても良いのなら結構です。しかし、毎年数百億の財源を出してください。」と現実的な金の話しを持ち出すことに。皆が会計課長を見たとき、「そんな金がある訳ない」という会計課長の一言で、最終的な方針が決まりました。ここで、先送りになっていれば、その後の「利用者負担騒動」はなかったのでしょうが、他の分野の重要な補助金は、数年でなくなっていたでしょう。それほど大規模な問題で切羽詰まっていたということです。
同席していた関係局の局長からは、「荷崩れ起こすなよ(途中で失敗するなという意味)」と厳しい科白を残されて会議は終了です。

 

それから概ね2週間後、政府予算案が事実上決まる日、日曜日でしたが、役所で一人にて、予算案で決まったことを法律案にする仕事を、部下に委ねるための資料作りをしていました。すると企画課長から「○○局では、当初案と違った結果になったらしいけど、何か聞いている?」と、電話で悪い知らせです。
○○局の案が変わると、当方の新制度の案では厳し過ぎるという結果になることから、当方にとっては重大な問題でした。「どっちが荷崩れしているのか!」と喚きながら、○○局も担当する財務省の主査に電話確認をしました。

(次回に続く)