Episode35 「課題を先に送ると 必ず自分に戻ってくる」

2012年12月18日

「仕事を片付ける」という日本語があります。
本来的には、あるべきところに仕舞うといった意味で、決着をつけない限り、全体の仕事の量が減るわけではありません。

 

その意味では、「先に送る」というのも、仕事を進める上で、一つの選択肢ですが、いずれは、その決着をつける覚悟が必要になります。

 

私の今の仕事の原点は、2000年度の診療報酬改定ですが、その際に、問題があるとは思いつつも、手が足りず、個人の認識として「先に送る」としたのは、精神科入院医療です。(先月、当時のメンバーとの懇親会がありました。その顔ぶれを見て、当時、真面目に議論していたことを思い出しましたが、この改定の時のことは、いずれまた。)

それから数年後、別の立場で、精神科医療に関わるようになったときは、「早くも自分に戻ってきたな・・」と思ったものです。
客観的には、医療観察法の審議結果で、精神医療等の見直しをすると義務付けられたという、決して主体的にやるという状況ではありませんでしたが、将来につながるビジョンはまとめたいと、真面目に考えたと記憶しています。

さて、そうは言っても、自分なりに精神科医療の現状を理解し、現実的な展望を描くには、役所の内部に、適切な人材はいません。誰も、現実の医療をしている訳ではないからです。

そこで、2000年改定の際の入院の論理=入院期間別のサービス体系(急性期~回復期等)を参考に、精神科医療用の1枚の資料(写真)を作成しました。

 

これを個人的な知り合いに見せたところ、「面白い」と言われたので、「団体色のない論客を集められないか? 休みに勉強会をしたい。」と依頼しました。
間もなく、「メンバーが集まった」との連絡があり、その後、毎月1回(休日開催)の意見交換会が始まり、結局、1年以上続くことに。
後半は、病院の経営改善などに主題は移りましたが、前半は、真面目な政策議論が中心でした。私の仮説を提示し、これを実践すると精神科病院の現場では何が起きる、何かを起こすには何が必要か・・・などと、質問をしていき、メンバーの方も、真剣に回答してもらえました。
メンバーも事務官との付き合いは初めてで、驚きもあったようですが・・

 

2000年度改定の場合には、1998年に開催された検討会で、1年間かけて仮説を作っていきましたが、精神の場合には、時間もなく、正式の検討会とは別に、こうした枠組みで自分の頭の中を作っていきました。ある意味、自分のツケを払う感覚だったのでしょう。
ちなみに、勉強会のメンバーには、その後、団体の役職になり正式の場で議論することとなった人や、私の再就職の先となった人など、結果的に、私の人生にも関わる集まりになったのは、不思議なものです。

 

全ては、「ツケ払い」として書いた あの1枚の絵からです。