旅の楽しみ8:上野で中国と日本の古えを見る(江戸散策3)

2012年11月7日

3回目の都内散策は、上野恩賜公園です。

上野恩賜公園は、彰義隊で有名な上野戦争(1868年)で全焼した寛永寺の跡地にあります。

これまで何回も行ったことがありますが、今回、この公園の歴史を調べると、明治当初は、不忍池を埋めて水田にするとの案があったり、医学校と病院を建てる計画があったようですが、オランダ人の医師ボードインの「将来のためにも公園として残すべき」との進言により、既に始まっていた病院の基礎工事は中止され、公園として整備されることとなった由。今では、4つの国立施設、5つの都立・区立施設、3つの民間施設が林立する文化的な空間です。

しかし、もし医学校と病院が、当時建っていたら、上野周辺は、どうなっていたかと考えるのも、今の仕事からは面白いものです。

 

さて、今回の目的地は、元の寛永寺の本堂跡に建つ東京国立博物館(写真は、春・秋に公開される中庭)。

特別展として、日中国交正常化40周年を記念する「中国 王朝の至宝」、古事記1300年等を記念する「出雲 聖地の至宝」 の二つを同時に実施中です。

普通に考えると、中国の特別展のほうが観覧の人が多いと思うのですが、実際には、日本の出雲展は賑わう一方で、中国の歴史展は閑散としており、ここにも今の日中の政治的な影が射しているのかもしれません。

家族は、出雲展のほうが気に入ったようですが、その展示内容のほとんどは、先月、訪問した出雲大社横の博物館で見たものであり、私には、静かな中国展のほうがよく感じられました。特に、1995年から3年間の中国生活以降に発見された「三星堆遺跡」「二里頭遺跡」からの紀元前2,000年以前の出土品が興味深いものでした。

 

上野恩賜公園内の他の施設では、メトロポリタン美術館展、エジプト考古学博物館所蔵ツタンカーメン展なども同時に開催されています。こうした文化的な集積は、東京ならではのものでしょう。

25年以上東京に住んでましたが、今更ながら、東京の文化的な充実度を感じました。今回の約4時間の上野散策は、私の地元福井が、これから何を充実すべきか、考える時間でもありました。

答えは、直ぐには見つかりそうにありませんが・・・