旅の楽しみ6:新橋で歌舞伎を見る(江戸散策2)

2012年10月5日

先月から始めた 東京の家族との都内散策。

今月は、家族の提案で歌舞伎です。

 

家族は、これまで歌舞伎座などで観劇の経験はありますが、私は、歌舞伎が初めて。

初心者向けに家族が選んだのは、新橋演舞場で開催中の「芸術祭10月大歌舞伎」の昼の部 国性爺合戦(写真)、勧進帳の有名な2本。

全くの素人の私でも、日本史の中で有名な事象として聞いたことのある演目であり、配役も、市川團十郎さん、松本幸四郎さんと、有名な方がラインナップ。

 

 

しかし、今回は、楽しみと言うより・・・ 少々、修行気分での会場入りです。

観客のほとんどは高齢者で、うち8割以上は女性。平日の昼というのもあるのでしょうが、私の世代は、未だ若輩者の雰囲気。

また、以前、正月のTVで見た歌舞伎番組の印象も、様式美が前面に出て、下世話な私には合わない世界との印象も強くあったからです。

実際に始まると、演者の間合い・呼吸など、ライブ感があって、TVとは違った印象なのですが、逆に、科白の半分が理解できないことが気になりました。外国語であれば、わからなくても気にならないのに、日本語だと、少しでもわからないと気になる。不思議なものです。

「日本語なのに意味がわからない!」と思った時に、中国勤務時代に、中国の知人と見に行った京劇のことを思い出しました。当時、彼に、中国語で「言っていることはわかるのか?」と聞くと、「言葉が古すぎてわからない。今の中国とは別のものだよ。」との回答。あの時と同じと理解し、江戸時代の文化を、今見ているのだと考えて、別の視点で舞台を見だすと、結構、面白いものです。

 

昔は、ライトなどなく、ろうそく程度の明るさだったので、白塗りをして映えるようにしたのだろうが、今の白塗りの意味は何か?

仮に、昔の明るさで、舞台をすると、どのように見えるのだろうか。薪能のような雰囲気になるのか?

昔の歌舞伎は、庶民対象だったはずだが、今の舞台上でのやりとりを どの程度、理解できたのだろうか?

などと、失礼ながら、演目の進行とは、別のことを考えていました。これも私にとっての文化探索です。

お昼時に、会場指定の喫煙所に行くと、「演舞場稲荷大明神」という、小さな社の前。失礼ながら、一服しましたが、こうした場所にも神社があるのも、江戸らしいと思った次第です。

 

何とか、無事、4時間弱の観劇を終え、私は一人、次の仕事の場に行き、現代の現実に戻りました。

 

しかし、一番安い席でも3千円と、映画などに比べると結構な値段がしますので、若年者が観劇するには、金銭的にもハードルが高いのが気になりました。

こうした今に生きる江戸文化を直接見る機会を、若い世代が得ることは、世界の中で、生きていく上には必要なことです。自国の文化を知り、大事にしない人は、外国では尊重されないという経験からして・・・

家族によれば、以前の歌舞伎座には、安価な料金設定もあったようですが、これからの社会、高齢者割引などより、社会を知る機会を増やすため「若年者割引」が普通になる時代が早く来てほしいものです。