Episode23 「仕事の体制を作るより 維持するほうが難しい」

2012年8月18日

私自身、国立病院機構本部とは、極力、直接の関係を持たないようにしています。現在、国立病院機構は公務員組織であり、公務員OBとの関係は、何かと外野から誤解されるのはお互いに不幸だからです。

 

しかし、それでも、財務部長当時に、関係のあった院長や知恵を借りた外部組織などから、最近の本部や財務部の状況を漏れ聞く機会はそれなりに多くあります。最近、こうしたチャンネルで聞こえてくる国立病院機構本部の状況は、正直、あまり芳しいものではありません。

現象面はいろいろありますが、共通するのは、「過去の延長線の繰り返しであり、新しい仕組み・挑戦がなく、本部としての方向性が見えない。」というものです。

 

これは、政治の流動化など、外部環境が安定しないことも要因の一つとは考えますが、一方では、好業績が続き、本部として自分で行っていることを不断に検証する姿勢が弱くなり、新たなものに挑戦しなくなっているのではないかと懸念されます。
制度ビジネスたる医療経営では、こうした状態でも、すぐには、経営停滞にはなりませんが、数年で、間違いなく機能不全・経営停滞になります。個人的には、本部内で、こうしたリスクを実感しているのは、清水副理事長ほか、ごくわずかではないかと感じます。

 

建設投資という財務部に限った事象では・・・病棟等の建替えに関し、当初の投資枠より、竣工後に金額が増える事例があるようであり、なぜ、高くなるのか事務部門では、正確に把握できなくなっていると聞きます。現職時代は、規模の大小にかかわらず、投資決定の段階から竣工まで、時間管理とコスト管理を本部で行い、一応、全ての案件をリアルタイムで、事務職・営繕職が一覧表で見るような仕組みを整え、もし、額が変われば、即座に、私自身が「なぜ?」と個別に確認していたものです。設計等も事務部門を通し、当初案と変更等があれば、決済が部長に届く前に変更理由が明らかにされていました(部長が、事務部門に「見たのか?」と頻繁に聞いていたことの反映です)。
そうした業務管理が今でもなされていれば、仮に最終的に額が増える事例があっても、本部で事前に把握しているはずです。たぶん、本部で決めたことが、実際の現場で起きているかを把握し分析する仕組みがなくなっているのでしょう。また、建設投資に係る政府出資もあり、最近は、コスト管理より、「予算消化」的な雰囲気が蔓延していたことも、その背景かもしれません。
今の人たちは意識していないでしょうが、「営繕任せ」の国直営時代の状況に近づいているのかもしれません。実際の業務は、専門職である営繕部門が行うとしても、それを把握し、方針等を決めるために必要な情報を自分で把握できないようでは、日々、判断が現場から遊離していきます。現場に行くまでの必要はないと思いますが、現場がどう動いているかは、常に把握していることが必要です。病院経営は、国の行政とは全く違うからです。

 

旧厚生省では、いちど上がった業務レベルが、人事異動で灰燼に帰すことは数多く経験しましたが、国の行政と病院経営が同じようでは困ります。自分なりの方法でやって欲しいと後任に引き継ぎましたが、それから4年超。

もし、国直営時代の雰囲気に戻っているとしたら、寂しいものです。