親と歩く74 父親の在宅療養2か月に届かず・・高齢者世帯の限界を知る

2019年10月16日

父親の在宅療養のサービスを見直し、各専門職への連絡体制も整え、9月中は何とか在宅で大丈夫かと一息ついたのは、9月10日過ぎでした。その後、予定していた地方の人に会うため9月13日に福井を離れましたが、整えたばかりの専門職の連絡体制を通じて、父親の状況が悪くなってきたとの情報が頻繁に届きました。
「急に飲みこみが悪くなってきた」「食事を刻み食やムース食に変えよう」
「薬の服用も時間がかかる」「麻薬は貼付になったので他は無理せず可能な範囲で」
「水分もあまり欲しがらない」「スポーツドリンクなど色々と試してみて」
など、専門職と私の間では相談はできていたのですが、近くにいる母親は、父親の容態が急変したとパニック状態になったらしく、「衰弱死する」、「怖くて家に置けない」などと言い出し、「入院させろ」と私の奥方に連絡もしたようでした。

 

9月の受診で、頭の腫瘍も大きくなっていることは確認されましたが、その時点では、時間はかかっても普通の食事を半分は食べてましたので、急速に状態が悪化するとも思えず、数日すれば何とかなるのではと思ってましたが・・15日の夜に父親が発汗して辛いと訴えたとのことで、母親が訪問看護に連絡~バイタルは問題なくかったものの、本人・家族ともに入院希望で救急車を呼びました。
これは事前に打ち合わせていた1つの流れではあるのですが、症状からみて軽い脱水症状のようなので、数日で自宅に戻るかと考えていましたが、そのまま入院継続という予想外の展開~病院から、次のような話を聞いた母親が、在宅はすっかり選択外になったのも背景にあります。
「この状態だと緩和ケア病棟への入院するしかない」
「もう口からは食べられないので、経管栄養という選択もある」
「特に治療もないので、1か月くらいで安らかに亡くなる」

 

あれから1か月を経ましたが、この間・・
○入院後数日で、私の奥方も付き添いで緩和ケア病棟の申し込み
○経管栄養は行わず、薬剤投与目的の最低限の点滴実施
○私の奥方が「試し」にと、棒付の飴を出すと美味しそうに舐める
○飲み込みを改善するという名目で、頭部への放射線照射開始
○嚥下のリハビリも始まり、経口での栄養補給も始まる
と、病院説明とは違った道行きになっています。

 

現在は、病院の勧めた緩和ケア病棟に移り、母親は叔母の送迎で毎日病院に行っています。数日前は母親の誕生日~奥方から花束を受け取り、父親と写真も撮ったようです。
今の父親の状態なら、短期間の在宅も可能かとは思いますが・・
父親が病院の管理下にあるという安心感で、母親の生活も精神も安定しているようであり、また、この病院には在宅の緩和ケアチームがなく、訪問看護では土日等の体制が組めないという事情もあって、あとは、「どのように死ぬか」という父母の選択に委ねるしかなさそうです。

 

奥方からも言われましたが、私がずっと福井に居たなら違った道行きもあったのでしょう・・しかし、現実的には無理であり、高齢者世帯の在宅療養の難しさを知ることになりました。
特に、今回は費用面では制限無しでの在宅トライアル~これでも家族状況、地域のサービス体制により、長続きしないのですから、お役所のいう地域包括ケアを成立させるのは、かなり厳しいという実感です。

 

11月には、孫も病院に顔出す予定です。

無事に会えて、良い時間になりますように。