親と歩く73 父親の在宅療養1か月を経過・・日々衰える人のサポートの難しさを実感

2019年9月2日

7月に東京に戻る際に、父親と私から病院に対して、文書で7月末日の退院を申し出ました。
その後7月中は、病院の退院支援室、父親の指名したケアマネ、近所の工務店等と、遠距離連絡をしながら在宅の受け入れ準備を進めました。想定する父親の行動動線に沿って、敷居の撤去、手すりの設置を進めるほか、ベッドサイドに必要な福祉用具の設置、8月の通院リハの時間、送迎の介護タクシー、入浴目的のデイサービス、1日3回のヘルパー、週2回の訪問看護など、必要と思われる環境、体制づくりを終えて、退院前の関係者会議を迎えるばかりになりましたが・・。

 

母親の毎日の病院行きをサポートしていた近所に住む叔母が、「足の腫れが引くまで退院させられない」と言い出し、予定していた父親の弁当の手配が停止したと、調整の窓口を依頼していた人から、叔母の「乱心」の一報を受けました。紆余曲折はありましたが・・私から最終的に、「家に戻せないと言うのであれば、別の病院に転院するしかない。叔母の責任で転院先を探してくれ。」と突き放すとともに、病院に叔母の状況を伝えて病院から説得するように促して、「退院拒否騒動」は退院前に何とか終わりました。

 

しかし、この騒動の余波で、宅配弁当の手配の準備時間が十分にとれなかった結果、昼・夜と配達する計画の弁当が、「同じものばかり来ると父親が言う」との母親の言い分で、在宅療養開始後のたった3日で昼の配達は中止になった一方で、母親は「食事の準備など大変でできない」と愚痴を言い続けるという「食事騒動」に発展・・昼は別の事業者からとることにしましたが、現在でも問題は継続中です。

 

次は「排便騒動」=家に戻ってから数日して、父親が初めての排便をした際の大騒ぎでした。父親は薬の関係で便秘になりやすいのですが、本人の希望で下剤等の服用を止めたところ、案の定、便秘に。訪問看護師さんと相談のうえ、処方通りに薬を服用するようになった当日の午後、父親が便意を催したのですが、ポータブルトイレへの移動が間に合わず、ベッド内でリハビリパンツの中に・・。久しぶりの便なので大量に出た結果、パンツに収まらず、ベッドに一部広がったようです。

普通なら、その後来たヘルパーさんのように、「便が出てよかった」と喜ぶところですが、母親は「あれは大変だ」「私にはできない」「家政婦を雇え」「家には置けない」と、本人の前にもかかわらず大声で言い続けました。父親はベッドに広がったことを気にしている様子でしたが、母親の言動に、さらに委縮した様子・・たまらず、私から「久しぶりに便が出てよかった。」「薬を飲んでなかったので数日分が大量に出た。」「薬を毎日飲めば少量しか出ないので心配ない。」と慰めるという顛末でした。
ただ、8月最初の土曜は日帰り温泉の家族風呂(写真)で久しぶりに温泉に浸かり、また、次の土日は叔父・叔母の退職祝いで親戚一同にて温泉一泊できた父親の嬉しそうな顔を救いに、8月半ばには東京に戻りました。

 

9月の福井滞在までの間、小さなトラブルは続くだろうと予想はしてましたが・・最初の問題は居室の「空調温度騒動」でした。暑がりの父親と冷房嫌いの母親が同室・・非常に暑い日が続くなか、何をやっても母親は空調を切る始末でしたが、これは季節の変化とともに自然解消となり幸いでした。

しかし、予想以上に父親の行動能力の低下が進んだことで、直ぐに追加のサポートが必要になりました。8月前半は、ベッドで寝てる状態から座るまでは何とか自力でできたのですが、それが急速に難しくなったとの連絡で、午前に追加のヘルパーを依頼・・サポートが増えてベッドに行って寝ることが容易になったこともあってか、1日の大半を寝て過ごしているようでした。

そのうち、長時間寝ている状態から起き上がるときに痛みを強く訴えるようになり、ポータブルトイレの利用頻度も著しく減って、ほぼリハビリパンツの中で・・高い確率でベッドに一部広がるように。8月末には、通院リハもデイサービスも、起きられないことを理由に直前でキャンセルしたとの連絡も届きました。

 

奥方に3日ほど福井に戻って様子を見てもらいましたが、調整役はいるものの決定する人がいないので、家族もサポート側も心配が心配を呼ぶ・・という感じと理解して、今回福井に戻りました。
この数日、サポート側の専門職の話を聞いてから、実際のサポートの場での専門職、本人・家族の行動を観察して、それなりの解決方法はあると考えましたが、母親は8月末に玄関先で転倒して右腕を骨折・・当面は、在宅介護に係る介護保険の支給限度額の2倍を超える手厚いサービスが必要なことは間違いありません。
その中で、痛みがある父親には少々辛いかもしれませんが・・父親の体力維持も考えて、午前中は極力車椅子に座って、また昼・夜も最低1時間はベッドでも構わないので座って過ごすように促す一方で、皆さんの意見も聴いて、父親の状況にあわせて、1か月前に整えたばかりの居室のベッド・福祉用具の配置変更をすることにしました。

 

1か月後には、また、父親の状況変化にあわせて、環境・体制を大きく変えることが必要なのは間違いありませんが、まずは、新しい条件下でのサポートする側、本人・家族の動きを10日間ほど観察です。

父親との我慢比べ・・無資格のケアマネ業も大変です。