親と歩く52 今年最後の親との外出は、三国湊に向かいます

2015年12月1日

通信にも書きましたが、一般企業や医療福祉の不祥事が続いた今年も、早いもので、もう12月。
今年最後の親との外出は、三国湊に向かいます。

 

以前は、出かけようとするたびに、母親からのクレームがあったものですが、今や、私との外出は生活の当たり前になったようで、本日も何事もなく自宅を出発です。
いつも通りの他愛のない会話が続き、このまま最初の目的地に着くかと思った途端・・4車線の国道8号線で急に前の車が減速しました。いつも安全運転の私は、余裕をもって左側に車線変更しましたが、中央分離帯のある交差点でもないところで、事故でもあったのか・・と、右手で止まっている数台の車を確認すると、驚く光景がありました。

 

高齢の男性が、車の流れに逆らって、中央分離帯沿いに3輪の自転車を押して歩いているのが目に留まりました。交差点でもないところで、中央分離帯を越えて道路を渡る高齢者の姿は、あちこちで見かけますが、こんな様子は初めてです。
当の本人は、オロオロするわけでもなく、堂々と歩いているのが不気味なほどでした。どうやったら、あんな所に・・と思いましたが、200mほど先に交差点があるのを見て、交差点の横断歩道を渡る途中で、中央分離帯を歩道と間違えて右に曲がり、そのまま真っすぐ進んだのだろうと想像できました。

たぶん、認知障害があってのことだとは思いますが、本人にとっても、運転者にとっても危険極まりない状況でした。それでも明るい時間帯なので、各車両とも気がついて停止したのでしょうが、これが夕方以降だと、間違いなく交通事故・・それも重大事故になることは確実です。年齢的には、私の親と同じくらいに見えましたので、戻って安全確保でも・・と思いましたが、その時には、相当前に進んでいて、後続車両も多くて、戻るに戻れず・・安全を祈るしかありませんでした。

 

自分の両親も、こうなっても不思議はないと考えると、道路の構造なども高齢化社会では、検討課題なのだなと考えさせられました。認知障害のために、思いもかけない場所で危険に踏み込むことはあり得るとの視点で、街の再点検が必要なのでしょうが、しばらく先で、広い水田群の真ん中に、どう見ても不要不急の高規格道路を新設しているのを見て、「優先順位が違っている」と思わざるを得ませんでした。

 

両親は、こうした状況に気づくこともなく、相変わらず、他愛もない話を続けていましたが、間もなく、最初の目的地 三国神社に到着しました。三国神社は、北陸三大祭の一つである三国祭り~毎年5月に10万人以上の参拝者で賑わう地です。神社のHPにしたがって市営駐車場に車を停め、初めての参拝のためスマホの地図アプリを見ながら神社に向かいますが、参道と思ったところは、裏道のような場所で、急な階段が続きます。気がつくと、母親は、どこから探してきたか、枯木を杖にして歩いています。見ようによっては、寿老人です(写真)。

 

先週、仕事で行った京都もそうでしたが、境内は、あまり色づくことなく散りかけているモミジがあちこちにありましたが、澄んだ日差しに、それなりに美しく見えました。たぶん、今年最後の紅葉でしょう。そこから、いつも通りの日帰り温泉・・晴れて青い日本海を見ながらの三国温泉に両親も喜んでいました。こうした小さな幸せが、毎日を元気に暮らす秘訣なのかもしれません。

 

帰りは、なぜかマイナンバーの話になりました。文書が届いたものの、「どこかに何かを出せと書いてあるが、出してよいのかどうかもわからない。マイナンバーで騙された人もいるので、おまえに聞かないと心配だ。」と、すっかり頼りにされているようですが、実際には、説明をよく見ないで、私に見させようという魂胆が丸見え。「金を払わない限り、騙されることはない。家に帰ってよく見て、それでもわからなければ、見てあげよう。」と切り返しましたが、予想通り、自宅に戻ると、父親は自分で書類を見て、書いてあることを理解したようです。

要は、電子認証のカードが必要かということでしたが、「住基カードがあるので2年間は不要。もし、2年後も生きていれば、その時申請する。」との結論でした。

昨年、「治療しないと余命3年」と言われた父ですが、2年後、申請することになるか否か・・楽しみなことです。