親と歩く42 珍しく両親の息が合った丸岡城近くの日帰り温泉

2015年2月26日

今月は、天守閣を持つ北陸唯一の城~丸岡城の近くにある霞の郷温泉に行きました。

 

2月は、例年、研究所業務の確定申告のほか、父親の確定申告の手伝いもあり何かと気ぜわしいのですが、今月福井に戻った初日から、仕事に集中できないことが続きました。

 

玄関先で誰かの声がします・・結構大きな声なのですが、玄関に近い居間にいるはずの両親は全く出て来る気配がありません。やむを得ず、仕事を中断して玄関先に出ると、どう見ても両親のお客・・両親に「誰か来ているよ。聞こえないの?」と問うと、「本当か? 全く聞こえない。」と2人とも口を揃えます。いつもは調子の合わない2人なのですが、こういう時だけは息が合います。
「早く出て」と伝えて、仕事に戻りますが、昔とは違って、すぐに集中した状態に戻ることはできず、「何をしていた?」と思い出すことからです。私も歳をとったな・・と実感する瞬間です。

しかし、これと全く同じことが、3日も続づきましたが、さすがに心配になってきます。父親の申告で医療控除額は40万超・・両親が入院してから1年も経っていないことを再確認した直後だったからです。

 

「この2人だけだと、泥棒も入り放題だな。大丈夫なのか?」と、3人の夕食中に大声で伝えると、母親は「いつもは、怖がりの猫がビクッと反応するので、誰かが来たのはわかる。」と言い、さらに「お前がいると、猫が怖がって部屋にいないから、わからない。」と続けます。
盲導犬ならぬ、聾導猫か・・と感心しながら、「今回は○○に行こうと思うが」と今月の外出先について普通のトーンで最終確認を求めると、聞き返すこともなく「そこは行ったことがある。代わりに霞の郷に行きたい。」と即座の回答~10年ほど前に、膝を悪くした父親と毎週通った場所とのことです。
健康に自信を取り戻し積極的になってきたのは嬉しいことですが、本当に「耳が遠いのか・・もの忘れが激しいのか・・私をからかっているのでは?」との疑念が湧く・・

といったことが2週間前にありましたが、その時は雪が降り、予定はキャンセル。本日の外出となりました。

 

さて、私は昨日無事講演を終え、心の余裕も体の時間もできたので、母親の希望地に行く前に、近隣の豊原三千坊資料館に立ち寄ることにしました。平泉寺と並ぶ白山信仰の中心であった豊原寺~戦国期には多数の僧兵を擁して、周辺には僧坊が建ち並び、「豊原三千坊」と呼ばれるまでに勢力を伸ばしたとのことですが、有名な比叡山焼き討ちの4年後、信長公に焼き払われたという歴史があり、一度は、見てみたいと思っていた地です。
この地に向かう途中、母親から、「ここは霞の郷とは違う・・あ、先に別の場所に行くのか。」との発言。10年も前のことを覚えているのに、30分前に話した本日の予定を忘れるのは不思議です。またも2週間前の疑念が頭を過ぎります。

 

資料館を管理する豊原家(たぶん豊原寺の関係者)に出向いて戻って来ると、母親は車の中で「さわらないで。セクハラよ。」と騒いでいます。私から、「75歳以上は、セクハラの対象ではありません。後期高齢者です。」と話を打ち切り、本日は不在のようで見学はできないと伝えて霞の郷へ向うと、今度は2人で「あそこだ」と施設の場所を指さします。いつも息が合うと楽なのですが、なかなか難しい人たちです。

施設の利用者は、両親と同世代と思われる人がほとんど・・母親は昔の知人を見つけたらしく女性同士で話していました。こうした出会いも楽しいのでしょう「これからは、ここに来たい」と、またも2人の息が合いました。

 

最後に、食事を終えて自宅に向かおうとすると、母親から「どこに行くの」との質問です。
笑いながら、「家に戻りたくないのなら、さっきのお寺の跡に置いていきますか?」と言うと、「元気がなくなったらそうしてもらいたいが、実際にやると犯罪になるらしい。」と、急にまともな回答が返ってきました。

両親への疑念は膨らむばかりです。