親と歩く38 本日は仏教巡り しかし冥途への道はまだ先のようです

2014年10月16日

今回は、曹洞宗大本山永平寺と真宗の美展(福井県立博物館)に行きました。

 

今週、和歌山から台風に追われるように福井に着きましたが、月曜、火曜と荒れ模様の天気。10月当初の九州南部の旅から蓄積する疲れもあり、数日、家で大人しくしていましたが、両親揃って咳き込むのが気になります。
母親は、いつも通りの喘息気味なのでしょうが、父親は、庭の剪定で汗をかき、そのまま風邪を引いたとの由。母親は、自分のことは置いて、「咳が気になってしょうがないから、医者に行け」と言いますが、すっかり医者嫌いとなった父親は、グズグズ言うばかり・・やむを得ず、昨日夕刻に、「明日は、13時に真宗の美展に行きますので、それまでに医者に行ってくるように」と父親に通告しました。

 

さすがに昨夜の咳は苦しかったらしく、本日午前に、父親は医者に行き、点滴で咳も収まっての出発です。ただ、出発前に、母親が永平寺に行きたいと言い出し、両親の間で一悶着あったようですが、永平寺経由美術展行と、大岡裁き?で経路も決着しました。
道すがら、母親が、「大分前に登貴美(私の姉)と一緒に行ったことがあるが、死ぬ前にもう一度行きたいと急に思った。参道の商店に○○さんという従兄妹が店を開いた。」と永平寺行を言い出した理由を語ります。さらに「確か代が変わり、博一の又従兄妹が店をやっているはず・・」と続けました。私も、この歳になって初めて知る又従兄妹の存在に、少々驚きましたが・・ほどなく永平寺に到着です。

 

永平寺には、今年の春先に一度、お客さんのアテンドで来ていますが、その時には、人影は疎らでしたが、本日はそれなりの参詣者がいます。暖かい日差しの中、両親が、軽い坂道の参道をゆっくり歩いていきます。初夏の頃には、歩くのも覚束ない感じがしたものですが、本日は、特に母親はしっかりとした感じが・・8月から行っている近所の健康増進サービスのお陰なのでしょう。

 

さて、堂内に入ると階段が続きましたが、それなりに両親とも前に行こうとします。法堂に向かう数十mは続くと思われる階段を前に、さすがに「止めておくか?」と問うと、母親が「行こう」と歩き出します(写真)。数か月前は、階段を見るだけでギブアップ気味でしたが、健康に対する自信が出てきたのでしょう。
その母親は、その法堂で、お経があげられるのを熱心に聞いていました。
我が家は浄土真宗なので、宗派は違うのですが、「ありがたいお経だった。磬子の音も素晴らしい。」と感激しています。「死んだ姉が、あの世は良い所だからいつでもおいで。」と言っているように思えると続けるので、私から「この階段を登れるなら、冥途の道はまだ先ね。」と告げ、永平寺の参詣は終わりです。

 

車に乗って美術館に向かおうとすると、母親が「参道の門前町を歩きたい」と言い出し、私は車の近くで一服、父親が同行して行くことに。しばらくして迎えに行くと、従兄弟の○○さんの店を探し当て、何やら話をしています。少し顔を出すと、これまで存在を知らなかった又従兄妹との対面となりました。
この先、縁があるかどうかはわかりませんが、こうした突然の対面も、朝、母親が急に永平寺へと言い出したお蔭です。人生とは面白いものです。

 

その後、本来の宗派である浄土真宗関連の美術展に向かいましたが、そこでも両親は1時間以上をかけて見ていました。7月の北斎展は問題発生でしたが、今回は何事もなく・・人間80歳になっても経験から学ぶことはできるようです。両親は、母親の実家の近くにある本覚寺所蔵の親鸞像、聖徳太子像に特に関心を持ったようですが、私は少々疲れて、先に休憩所で休むことに・・

 

本日は仏教の日となりましたが、両親の冥途の道は、まだ先のようです。

そのうち小浜の神社仏閣でも紅葉を見に行きますか・・