親と歩く24 気温三十度の地上から気温十三度の立山室堂に

2013年10月8日

今回は、連日の30度の気温の地上を避け、標高2千mを超える立山室堂で涼みました。

 

昨日、接近する台風24号の影響か、福井では、十数年ぶりに10月に気温が30度を超えました。

本日も30度を超えるとの予報を聞き、暑い福井ではなく、福井から3時間程度の距離の「立山室堂に行く」と、昨晩、両親と協議が整いました。

 

本日、8時前に家を出ると快晴です。

台風で苦労する九州の方には、申し訳ありませんが、山に行くには絶好の日和となりました。

しかし、立山黒部アルペンルートの富山側の起点である立山駅に辿り着く途中、珍しく、母親が「お手洗いに行きたい」と言い出しました。これまでは、それなりに事前準備をしていたようですが、今回は、なぜか準備が整わず・・何となく、ハプニングが起きそうな予感です。

 

立山駅で室堂までの往復切符を買い、ケーブルカーに乗り込むと、母親が見当たりません。

急な階段を上り切れず、車両の最後尾に乗ったようですが、平日にも関わらず、車両は満員(中国からの団体旅行者が8割以上でしたが)で、様子がわかりません。父親は心配な様子で、車内で母親を探しています。車両が動き出しても、立ったままで周りを見る姿は危なかしいので、「乗っていなければ、迷子の放送でもしてもらおう。」と言って坐らせました。

数分後、美女平駅に着いて、しばらく待っても母親は見つかりません。本当に、「迷子の放送か・・」と思いましたが、最後に、ゆっくりと階段を一段一段登ってきました。事なきを得ましたが、先を考えると、少々、心配な感じです。

 

両親を「引率」して高原バスに乗り継ぐと、車中からは、推定樹齢300年の巨大な立山杉、日本一の落差(350m)を誇る称名滝、紅葉が鮮やかな弥陀ヶ原などが見えて、両親は声を出して喜んでいました。20年近く前に、両親は、姉夫婦と義兄の両親の計6人で、この地に来たことがあるようですが、その時には、ガスがかかり、あまり景色は見えなかったとのこと。その前も同じであり、今回、3回目にして、天候に恵まれ紅葉の良い景色を見ることができたと・・繰り返し言っていました。

 

室堂に着くと、気温の表示は13度です。上着がなければ寒いくらいです。

しかし、その場は人で溢れて熱気があるような感じです。娘の言葉を借りれば、渋谷のスクランブル交差点のようなものです。

人混みの邪魔にならないよう、ゆっくりと歩いて外に出ると、立山の主峰である雄山や剣岳を見て、また、母親は喜んでいます。私が、写真でも撮ろうかとスマホを取り出すと、なんと電池切れ寸前です。数日前から調子が悪かったのですが、なぜか用意した充電器からの充電も受け付けません。残り5%程度の残量で、数枚の写真をとって、スマホは光を失いました・・。母親は、雄山を背景に写真を撮って欲しかったようですが、残念ながら、間に合いませんでした。ハプニングは、母親ではなく、私に起きてしまいました。

 

また、20年近く前の記憶で、母親は風呂に入る用意をしてきていたのですが、以前に入った小屋を見て、自分で吃驚していました。「あんな急な坂を往復したの。私も若かったのね。」と一言発して、そこに行くことは諦めました。当時、母親は60歳前後と、今の私より10歳も年をとっていますが、今の私より元気だったような気がします。それを示すように、母親は、「あなたの骨密度は、若い人と遜色ない」と医者から言われたと、自慢げに話をしていました。

なお、私は、仮に、その場所に行けと、本日言われても間違いなく断っていたでしょう。涼みに来たのに、疲れて帰るわけにも行きませんから。

 

最後に、私のスマホで写真が撮れない代わりに、両親二人の記念写真を、雄山を背景に有料で撮ることにしました。冥途の土産です。

撮影後に、バスで山を降りはじめましたが、それと同時に雲が出て来て、あっという間に山も見えなくなりました。きっと、山の神様からも、老いた二人に、綺麗な風景という冥途の土産を送っていただいたのでしょう。二人にとっては、良い一日なったようです。

 

ちなみに、私は、福井到着後・・真っ直ぐにスマホの販売代理店に直行したのは言うまでもありません。

電池交換後、様々な仕事の連絡が届いていることがわかりましたが、山の神様は、私には仕事の土産をくれたのだと・・思わず苦笑いでした。