親と歩く21 龍双が滝に嫌な思いを流してもらいました

2013年8月28日

今月は、両親と日本の滝100選にも選ばれた「龍双が滝」と曹洞宗の道場「宝慶寺」に行きました。

 

今回の福井は土曜の深夜(日曜になっていましたが)に到着。家の前で、両親がウロウロしている姿を見ることから始まりました。

さては認知症を発症して徘徊か? と思いましたが、聞くと、私の到着が遅いので、心配して近くの私の事務所に行ってきたとのこと。

「今日は今庄で大雨が降り、数日前には土砂崩れもあった。電話もつながらないし、土砂に埋まっているのか心配して、玄関先で待っていた。」との由。

子供の心配をする親の気持ちはありがたいものの、50歳の子供から子離れができない親にも困ったものです。

「土砂崩れで埋まっていたら、玄関先で待っていても無駄です。」と答えて、「なるほど、そうだね。」で一件落着です。

 

さて数日間を忙しく過ごし、本日は、午前をゆっくりして、午後から両親と出かける予定が・・

 

数年前に、福井の法人から要請を受け、国立病院機構の土地を借受けて店舗を新設する事業(Cネット関東店)を支援したことがあります。その際に、福井側からの要請もあり、東京の法人とお見合いをして、高齢者グループホームの食事提供の業務を障碍者が行うという委託契約を締結しました。東京側は、当初は心配したのですが、福井側の熱意を信じて、事業開始となりました。

しかし、当初はある程度の水準は維持していたのですが、短期間で調理師が入れ替わる度に、食事の水準が低下し、現在では、障碍者は食事の作成ではなく洗いものだけ・・厨房は害虫駆除もなされず、異物混入も報告されないような状態となり、改善を促すものの、具体的な行動が出ない・・これ以上のリスクをグループホームの利用者に負わせるわけにもいかず、委託契約の打ち切りが決まりました。

当然、契約終了までに貸与した物品等の返還の完了がなされるべきところ、店舗では、借り物の物品管理を一切しておらず、直前になっても真正なリストが出ないような状態。しかし、この義務を果たさないまま、食事提供は、「申し入れ通り8月いっぱいで終了」と自分の都合を繰り返すばかりとなり、グループホーム側は大騒ぎです。

さすがに「許せない行為」と、本日午前に責任を持って調整できる者と面談したいと伝達して、福井の法人を訪問したものの出てきたのは・・これ以上は愚痴になるので、記載しませんが、相当に悪い感情を持っての両親との外出となってしまいました。

 

さて、今回の企画は、池田町から大野市に抜ける県道34号線沿いにある「龍双が滝」「宝慶寺」を巡ることです。

山深い地域を、徐々に道が狭くなり、やっと1台が走るだけの幅になった頃、母親が「危ないから戻ろう。でも狭くて方向が変えられない。」と自問自答するなか、狭い道沿いに「龍双が滝」が見えてきました(写真)。

夕刻までに出すとした再度の委託打ち切りに関する通知文の内容を考えつつ、イライラしながら運転していた私ですが、一気に、悪い感情が流されるような気がしました。幾重にも別れて流れる水、陽炎のようにみえる虹、何物も流すような水音・・これらが創り出す空気感が、自分自身を取り戻させてくれたようです。

父親も「これはすごい。いいものだ。」と、暫く立ち尽くしていたように見えました。

 

さらに山奥に入ると、また母親が「この道は繋がっているのだろうか。」と言い出し、対向車が来ると「キャー」と突然大声 そして「向こうから来るなら繋がっているね。」と、再度の自問自答です。

峠を越えると、幾重にも重なる山が見えて来て、また母親が「紅葉は綺麗だろうね。でも危ないから来ないけど。」と・・・3回目の自問自答。数分後には、「宝慶寺」に到着です。

 

坂や階段が多く、足腰の弱った両親には無理かとも思いましたが、二人はご機嫌な風で、ゆっくりと歩いていきます。お詣りをして、泉水を飲んだりと、長閑な風景です。

曹洞宗大本山永平寺も福井にありますが、私は、この宝慶寺が好きになりました。午前の不快な時間を、滝、山、寺といった人の「くだらぬ思惑」とは無縁の存在に、心が洗われたからでしょう。

ゆっくりとした時間を過ごし、心も落ち着き、いつもの極楽湯に一路向かいました。

 

極楽湯では、両親が風呂に入る間、再度の通知書を作成し、東京との調整となりましたが、この間の時間で、感情的にならずに処理できたと思います。あとは先方の回答が24時までに来ることを待つだけです。

残念ながら汗は流せませんでしたが、嫌な思いは滝が洗い流してくれました。

今度は、落ち着いた気持ちで行きたいものです。