親と歩く6 「1500年の歴史」が塗りこめられている越前漆器

2012年4月9日

今月は、両親と福井県鯖江市にある「うるしの里会館」に行きました。

福井では、足羽山公園、足羽川堤防、西山公園、花筺公園など、桜の名所も多く、当初は、桜を見に行こうかと思っていたのですが、今年は寒いせいか、いずこも桜の季節には、まだ、遠いようです。東京では、花見のニュースが流れる中、ほぼ同じ緯度にある福井では、固い蕾のままであることも、何か、不思議な気がします。

 

さて、当初の方針を変更し、先月は越前和紙でしたので、今月は越前漆器と、福井の工芸を見る企画となりました。

「うるしの里会館」は、北陸自動車道鯖江インターから約10分程度で、両親が伯父夫婦とともに毎週通っている「かわだ温泉ラポーゼかわだ(鯖江市農林業体験実習館)」に行く途中にあります。

この会館は、越前漆器協同組合が運営しているようですが、展示見学、漆器制作体験、職人工房、ミュージアムショップ等で構成されています。職人工房では、木地づくり・下地塗り・加飾の3部門があり、本日は、加飾の職人の方が実演をされており、越前漆器の産業としての現状など伺うことができました。

生活様式が変わり漆器を使うことがなくなったこと、職人さんの家の近くで漆塗りの立派なお膳が10脚捨てられている現実を見て悲しくなったこと(私の実家でも、使えるお膳が数十年使われることなく眠っています)、旅館業や割烹料理屋などは不振の一方で居酒屋チェーンでは漆器を使用することはなく新規受注が激減していること、地元の職人も高齢化しほとんどが後継者はいないと思われることなど、伝統工芸の直面する厳しい現実を垣間見ました。

 

一方、袋井市から発注された山車の漆塗りをしている現場も見学できました。昨年、掛川市から発注された山車の出来栄えが良かったとして、注文があったとのことです。地元でも、自前の山車を製作し、それを展示公開する企画が進んでいます(写真は、その後、9月に完成したもの)は。全国には、こうした山車は数多くあり、一つでも多くの仕事が地元福井に発注され、何とか伝統工芸が生き残ることを期待するものです。

また、今後伸びゆく市場である介護の現場などで利用されたり、中国の漆絵のような美術的な意味を持たせたりすると、将来性もあるかとも思いましたが、それを実現するには、なかなか厳しいのでしょう。

最後に、地元貢献の意味も含め、贈答品として、いくつかの品を買い求めました。ぜひ、皆さんも福井に来たら、また大都市の一角で見かけたら、越前和紙・越前漆器などの工芸品をお買い求めください。よろしくお願いします。